遺族年金には生計維持という条件がある

遺族年金

生計を維持されるとは

遺族年金を受給する条件の一つに亡くなった被保険者と遺族が、「生計を維持されていた」というのがあります。

被保険者が死亡した日において、

1.生計を同一にしていること
2.収入が一定額以下であること

この2つを満たす場合に生計を維持されていたと認められます。

生計を同一とは

生計維持の条件の一つに「生計を同一にしている」という条件があります。生計同一だけが条件になるものもあります。生計同一は次のようなものです。

配偶者又は子である場合は、次の場合が生計同一と認められます。

① 住民票上同一世帯に属しているとき

② 住民票上の世帯を異にしているが、住所が住民票上同一であるとき

③ 住民票上の住所が異なっているが、次のいずれかに該当するとき

A 現に日常生活をともにし、かつ、消費生活上の家計を一つにしていると認められるとき
B 単身赴任、就学又は病気療養等の止むを得ない事情により住所が住民票上異なっているが、生活費、療養費等の経済的な援助が行われ、定期的に音信、訪問が行われ、その事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の家計を一つにすると認められるとき

一定額以下の収入とは

生計維持関係の要件のうち、収入要件は前年の収入が850万円未満であること。または所得が655万5千円未満であることです。

現時点で上の要件を満たさない場合でも、定年退職等の事情により、おおむね5年以内に収入が年額850万円未満または所得が年額655万5千円未満になる見込みであれば該当します。(この基準が適用されない場合もあります)

一時的な収入所得については除外します。また、前年の収入所得が確定していない場合は、前々年の収入所得で判断されます。

収入とは、給与や賞与の合計で、所得とは、収入から税法上の控除を差し引いたものです。

自営業の場合は、収入とは、事業で得た年間の売上合計額で、所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額です。

証明できるものが必要

上記の生計維持関係を証明するためには、口頭での申し立てでなく、証明する書類が必要になります。

住民票で同一の世帯に属しているか同一の住所に住んでいることが証明できれば特に問題ありませんが、別居のケースでは、生活費等の経済的な援助を預金通帳や振込の控えなどによって証明しなければなりません。

本人の申立書や第三者の証明書等を提出しなければならないときもあります。

この基準が適用される年金等

上述の「生計を維持している」条件は、次の年金に共通する認定基準です。

1.遺族基礎年金の受給権者
2.遺族厚生年金の受給権者
3.寡婦年金の受給権者
4.老齢基礎年金の振替加算等の対象となる者
5.老齢厚生年金の加給年金額の対象となる配偶者及び子
6.老齢厚生年金の中高年寡婦加算、経過的寡婦加算の受給権者 7.障害基礎年金の加算額の対象となる子
8.障害厚生年金の加給年金額の対象となる配偶者
9.改正前の船員保険法による障害年金の加給年金額の対象となる配偶者及び子

次の場合は、上述の「生計を同一にしている」条件のみで認定します

1.遺族基礎年金の支給要件及び加算額の対象となる子
2.死亡一時金の支給対象者
3.未支給年金及び未支給の保険給付の支給対象者

労災保険の生計維持条件は、少し異なります。

遺族の範囲について

遺族年金の受給権者は基本的には法律上の配偶者と子ですが、次の人が受給権者になることがあります。

内縁の妻

婚姻の届出をしていない、いわゆる内縁関係の配偶者は、生計維持関係の他に事実上の夫婦であると認定されるための証明が必要になります。内縁の扱いについては別のページで解説します。

元配偶者

元配偶者でも死亡で遺族年金が受給できる場合があります。

離婚した夫(妻)が死亡したとき、生計維持などの要件を満たせば遺族年金の受給権を得ます。元配偶者は他人ですが、子は親子の関係が続いているからです。

元配偶者が死亡したときの遺族年金

父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹

父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹も遺族年金の受給者になることがあります。次の条件を満たしている場合です。

① 住民票上同一世帯に属しているとき

② 住民票上の世帯を異にしているが、住所が住民票上同一であるとき

③ 住民票上の住所が異なっているが、次のいずれかに該当するとき

A 現に起居を共にし、かつ、消費生活上の家計を一つにしていると認められるとき
B 生活費、療養費等について生計の基盤となる経済的な援助が行われていると認められるとき


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