新しい一年を迎えるための準備について解説します。
餅つき
普段餅をいただかない家でも、正月はお雑煮などに入れて餅を食べる習慣があります。
昔は餅つきをする家が多かったのですが、今は、餅つき機で作るか、スーパーなどで購入することがほとんどです。ついていた時代のなごりで、29日に餅を買わないという風習を言う人もいます。「苦をつく」からだそうです。
鏡餅(かがみもち)は、もともとは歳神様にお供えするものですが、特に家の習慣がなければ、神棚、床の間などに飾ります。
半紙を四方にたらした三方の上に、平たい丸餅を二段重ねにし、伊勢海老やだいだいを飾り、ゆずり葉を左右に置き、かやの実、かちぐり、こんぶ、ごまめなどを載せます。ただし、飾り方はこれでなければいけないという決まりはありません。スーパーなどで売っている三方とセットになったものが便利です。
煤払い
12月25日ころから28日までの間に、煤払(すすはら)いといわれる大掃除を行います。
年の初めにお出でになる歳神(としがみ)さまを迎えるために、家などを清浄にするという意味があります。
一般の家庭ではことさらに大掃除をする必要がありませんが、神棚があればきちんと煤払いをしておきましょう。
煤払いが済んだら正月飾りを準備します。
正月飾り
門松をたて、注連縄(しめなわ)をはります。これを正月飾りといいます。
門松は来臨する神様の依(よ)り代で、注連縄の内側は神様のために清浄な区域であることをあらわします。
正月飾りは豪華であれば良いというものではなく、その地方で年末に売り出される標準的な飾りをすればよいでしょう。
門松と注連縄を省略して、玄関に輪飾り(注連縄を丸くしたものに紙垂(しで)水引き、えびなどを模した飾り物などをつけたもの)をつける家が多いようです。
神棚がある家では、神棚に注連縄をはります。この場合のしめ縄はワラであんだ縄を用い、ワラの間に紙垂という白紙を切ってさげたものです。縄の太さが左右違うときは、神棚に向かって右に太い方がくるように取り付けます。
また、正月飾りはなるべく30日までにやるものとされています。
大晦日
12月31日は大晦日(おおみそか)です。神社では大祓(おおはらえ)が行われます。
大晦日の夜に蕎麦を食べる習慣があります。細く長くという意味があります。なお、節分の夜にも食べる習慣がありますが、それは、節分から新年が始まるとされていた時代のなごりのようです。
元旦
1月1日を元旦(がんたん)といいます。元旦は新しい年が始まる特別の日です。神社では歳旦祭(さいたんさい)が行われます。
お屠蘇
元旦の朝におとそをいただく習慣があります。屠蘇は、屠蘇散(とそさん)と呼ばれる5~10種類の生薬を袋に入れて味醂(みりん)または日本酒にひたしたものです。今は、おとそと称して普通のお酒で祝う家庭も多くなりました。
正式には三つ重ねの盃で上から順に3杯いただきます。いただくときは、若い人から順次年長者に盃を回します。
お雑煮
元旦にはお雑煮(ぞうに)を食べる習慣があります。
お雑煮は、歳神様に供えた餅や里芋などを、若水(その年の最初に井戸や川から汲んだ水)で煮込んで、元旦に食べたのが始まりといわれています。
作り方は地方によっていろいろな習わしがあります。材料も地方によって違います。餅も切り餅にする地方と丸餅にする地方があります。
おせち料理
元旦にはおせち料理を食べる習慣があります。
元旦にいただく料理は、歳神様にお出しした料理を神様から分けていただくというものでした。
おせち料理は、口取り(きんとん、かまぼこ、ごまめ、黒豆、カズノコ、卵焼きなど)、焼き物(ぶり、いか、えびなどの魚介類の焼き物)、酢の物(紅白のなます、酢れんこん、しめこざし、しょうがなど)、煮物(さといも、れんこん、くわい、ごぼう、しいたけなど)で構成され、それぞれの料理におめでたい意味が込められています。
また、おせち料理は四つ重ねの重箱(一の重は口取り、二の重は焼き物、三の重は酢の物、与の重には煮物)に詰めておき、食べるときに取り分けていただきます。
初詣
初詣と言って、元旦に社寺に詣でる習慣があります。元旦に限らず、初めてその社寺に詣でた日が初詣です。
年始回
年始回(ねんしまわり)といって、目上の人の家を訪問する風習もありましたが、今はほとんどすたれています。
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