元の姓に戻すことができる
配偶者が亡くなっても、特に手続きしなければ、残された配偶者や子の戸籍はそのままです。姓も変わらず、配偶者の親族との姻族関係もそのまま続きます。
変えたいときは手続きをする必要があります。
結婚のときに姓を変えていた人は、配偶者の死亡後に手続きをすれば旧姓に戻すことができます。
復氏届
旧姓に戻す手続きは、「復氏届」を提出するだけです。配偶者の親族の同意や家庭裁判所の許可などは必要ありません。
復氏届は、本籍地または住所地の市区町村の住民課に提出します。復氏届(役所にあります)、戸籍謄本、印鑑を持参してください。
復氏届は、死亡届を提出した後であればいつでも提出でき、提出期限はありません。ただし、死亡した配偶者が外国人であって、3ヶ月を経過していると家庭裁判所の許可が必要になります。
なお、姓が変われば、運転免許証、銀行口座、年金、健康保険、生命保険などの氏名変更手続きが必要になります。事前に、必要な書類を準備するなど、効率よく手続きを進める必要があります。
復氏後の戸籍
復氏届を出すときに、結婚前の元の戸籍(いわゆる実家の戸籍)に戻るか新しい戸籍を作るか、どちらかを選択します。
希望しても元の戸籍に戻れない場合もあります。
両親が死亡して兄弟姉妹が全員結婚(または死亡)した場合は、戸籍から誰もいなくなってしまうので、戸籍そのものが除籍されています。除籍された戸籍は戻すことができないので新しい戸籍をつくることになります。
また、子どもを自分の戸籍にいれたい場合は、元の戸籍に戻してはいけません。
戸籍は一組の夫婦と未婚の子供の二世代で構成することになっているので、祖父母・親・子供のように三代が同じ戸籍に入ることはできないからです。
子供を自分と同じ戸籍に入れるには後述する手続きが必要です。
復氏と相続関係
旧姓に戻っても、配偶者は亡くなった配偶者の遺族であり相続人であることに変わりありません。
したがって、遺産を相続することができ、相続した財産を返す必要もありません。
遺族年金の受給権もそのまま継続します。
注意しなければならないのは、負の遺産(借金など)も、旧姓に戻ったからといって無関係にはならないことです。配偶者が残した借金を引き継ぎたくない場合は、死亡から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄を申し立てる必要があります。
配偶者の親族との関係
復氏届を提出すると旧姓に戻って死亡した配偶者の戸籍から離れることになりますが、配偶者の親族との姻族関係は続いたままです。別な手続きをしないと義理の親子の関係が継続します。
配偶者の親族との関係を終わらせたいときは、自分の本籍地か住所地の市区町村の住民課に「姻族関係終了届」を提出する必要があります。
配偶者の死亡届を提出した後であればいつでも提出できます。提出期限はありません。この手続きに配偶者の親族の同意は不要です。
姻族関係がなくなれば、配偶者の両親を扶養する法律的な義務がなくなります。逆に、扶養してもらうこともできなくなります。
子の姓
復氏届を提出して姓が変わるのは届け出た本人だけです。亡くなった配偶者との間に子どもがいる場合は、子どもは配偶者の戸籍に残り、親と子供で姓と戸籍が異なる状態になります。
子供の姓を変更して自分の新しい戸籍に入れたい場合は、家庭裁判所への手続きが必要です。
裁判所のホームページ ↓
まず、家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立書」提出して許可を受けます。
許可を受けた後に、市区町村に「入籍届」を提出して子供を戸籍に編入します。「子の氏の変更許可審判書」と戸籍謄本を添付します。
これらの手続きは子である本人がするのが原則です。15歳未満であれば親などの法定代理人が手続きをします。
家庭裁判所への手続きは、弁護士等の専門家に依頼した方がよいでしょう。
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