定年後の健康保険の選択肢

定年

4つの選択肢

会社を退職すれば健康保険証は会社を経由して保険者に返納しなければなりません。返納した後のことについて解説します。

再就職すればその会社で健康保険に加入できる

別の会社に就職するのであれば話しは簡単です。その会社が加入している健康保険に入ることができるからです。

ただし、パート勤務など、勤務時間や勤務日数が少ない人には適用されないことがあります。応募したときに健康保険が適用されるかどうか確認しましょう。

再就職しなければ国民健康保険に加入する

退職後に再就職しない場合は、市町村がやっている国民健康保険に加入しなければなりません。原則として退職から14日以内に手続きしなければなりません。居住地の市区町村の国民健康保険の窓口に出向いて手続きします。

持っていくものは、職場の健康保険からはずれた証明書(離職票、雇用保険受給資格者証、社会保険資格喪失証明書など)とマイナンバーのわかるものです。市区町村のホームページで確認しましょう。

病気になったときに申し込むという考えは通用しません。病気になってから加入すれば、加入するべき時点にさかのぼって、ガッチリと保険料を追徴されることになります。

前の会社で入っていた健康保険を続けることもできる

会社にいたときに加入していた健康保険に継続加入するという手があります。

継続といっても前の会社とはなんの関係もありません。直接、協会けんぽなどに個人として加入することになります。

加入資格は退職日までに継続して2ヶ月以上勤務先の健康保険に入っていたこと、手続き期限は、前の保険の喪失日(退職日の翌日)から20日以内です。加入できるのは2年が限度です。途中で辞めることもできます。

退職後のことですから、手続きについて会社は面倒みてくれません。自分で協会けんぽ等の保険者に申し込む必要があります。協会けんぽ等のホームページから用紙をダウンロードして記入し、指定の送付先に郵便で提出しましょう。締切日に遅れるとよほどの理由がなければ受け付けてくれないようです。締め切りに遅れないように急いで手続きしましょう。

任意継続被保険者の保険料は、個人で加入するので、会社が払ってくれていた分も自分で負担しなければなりません。

退職時の標準報酬月額に居住地の都道府県の保険料率(40歳以上65歳未満の方は、介護保険料率が含まれます。)を乗じた額が保険料となります。会社負担がないので、在職中に比べて保険料が2倍になります。ただし、保険料には上限があり、退職時の標準報酬月額が30万円を超えていた場合は、30万円の標準報酬月額により算出した保険料になります。(この上限についての説明は「協会けんぽ」の場合です。健康保険組合については扱いが違うので、それぞれの健康保険組合に確認しましょう。)

継続するか国民健康保険に入るかは、どっちが安いかで決めることになります。

自分が差し引かれていた健康保険料を2倍し(上限を確認)、次に市町村役場に行って、自分の国民健康保険料がいくらになるか確認しましょう。

保険料の確認を遠慮することはありません。退職に際して保険料を確認する人はたくさんいます。

比べて得な(安い)方に手続きすればよいのです。

誰かの扶養に入れば保険料の負担がない

一番安く済むのは、息子や娘などが会社勤務などで健康保険に入っていたら、その被扶養者になることです。

これに該当すれば保険料を払わなくて済みます。収入条件がありますが、老齢年金しか収入がなければ、収入条件はクリアすると思います。

ただし、「扶養」ですから、金銭的援助など、実際に扶養している事実がなければなりません。

特例退職被保険者制度

実施している健康保険組合が少ないので一般的ではありませんが、特例退職被保険者制度というものがあります。

特定健康保険組合という健康保険組合に加入していて定年を迎えた場合、一定の条件をクリアしていれば、特例退職被保険者になって、後期高齢者医療制度に加入するまで、健康保険組合から現役時代の給付を受けることができます。

自分の加入している健康保険組合の制度を確認してみましょう。


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