成年後見制度の3つの類型
成年後見人制度には、後見、保佐、補助と3類型があり、程度に応じて使いわけます。
後見とは
□ 判断能力が欠けているのが通常の状態
□ 本人ができることは、日常生活に関することのみ
□ 成年後見人が、財産に関するすべての行為を代理する
例えば、
食料品や日用品の購入などの日常生活に関することについては成年後見人は取り消しできません。
また、不動産の処分などについては、成年後見人は代理権を持っていますが、本人にとって大きな影響がある事項なので、裁判所へ許可の申立てが必要になります。
保佐とは
□ 判断能力が著しく不十分な状態
□ 本人ができることに制限はないが、あとで取り消される可能性がある
□ 保佐人が、申立ての範囲内で家庭裁判所が定める特定の行為を代理する
□ 保佐人には、借金をしたり不動産の処分をしたりといった重要な行為について同意権がある。つまり、その事項については同意がないとできない。
保佐は、認知症があるがまだ症状が軽い場合が想定されているようです。
上記の同意権は、以下の事項です。財産に関する事項です。
1.貸付金・貸付不動産の返済を受けたり、または、逆に貸し付けたりすること
2.借金を借り入れたり、他人の借金の保証人になったりすること
3.不動産など重要な財産の売却処分などを行うこと
4.訴訟を起こしたり、取り下げたりすること
5.贈与をしたり、和解したりすること
6.相続の承認や放棄、遺産分割をしたりすること
7.贈与を受けるのを拒絶したり、遺贈の放棄をしたりさらには、負担付贈与、負担付遺贈を承認したりすること
8.建物の新築、改築、増築、修繕を行うこと
9.長期の賃貸借契約をすること
補助とは
□ 判断能力が不十分な状態
□ 本人ができることに制限はないが、あとで取り消される可能性がある
□ 補助人が、申立ての範囲内で家庭裁判所が定める特定の行為を代理する
□ 補助人には、家庭裁判所が定める特定の行為について同意権がある。つまり、その事項については同意がないとできない。
審判で決まる
以上のように、後見、保佐、補助と3類型があるのですが、その区分が分かりにくいことは否めません。
現実的にどれにあたるのかというのは、ケースバイケースで、裁判所が、医師の診断書などをもとに家庭裁判所が審判で決定します。
保佐で審判が開始されても、後見や補助という結論になる可能性もあります。
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