国民年金への加入は義務
日本国内に住んでいる年齢が20歳以上60歳未満の人は、全て国民年金に加入しなければならないことになっています。会社に勤務しているときは、厚生年金に入っており、厚生年金に入っていると、自動的に国民年金に加入しているのです。
ということなので、定年退職の場合は60歳になっているので国民年金の問題は生じませんが、早期退職制度などにより60再前に退職する場合は国民年金保険料の納付があるということに留意しなければなりません。
会社に勤務していた人が退職すると厚生年金保険の被保険者資格、つまり国民年金の第2号被保険者の資格を失って、第1号被保険者に切り替わるからです。そこで、60歳未満で退職した人は、間を置かずに再就職する場合を除き、国民年金に加入する手続き(正確に言えば第1号被保険者への種別変更)をしなければならないのです。
第1号被保険者の保険料は、1人当たり月額16520円(令和5年度)です。切り替え手続き後に納付書が送付されてきます。
被扶養配偶者の分も払う
厚生年金に加入している人に扶養されている配偶者は第3号被保険者といって、保険料は直接負担していませんが、国民年金の第3号被保険者として国民年金に加入しています。
配偶者が退職して厚生年金の資格を失えば、その被扶養配偶者は第3号被保険者の資格を失います。その場合は、その被扶養配偶者は国民年金の第1号被保険者への変更を届け出て、国民年金には扶養者という仕組みがありませんから、自分の分の国民年金保険料を払わなければなりません。
配偶者の被扶養者になれる場合がある
失業したときに配偶者が厚生年金の被保険者である場合は、その扶養に入ることで第3号被保険者になることができます。
結婚のため退社した場合でも、再就職するのでなければ国民年金に加入しなければなりません。また、会社勤務の人と結婚して扶養されることになった場合には、国民年金の第3号被保険者に変わるための届出が必要です。
なお、産前産後の期間(出産予定日又は出産日が属する月の前月から4か月間)は国民年金保険料が免除されます。多胎妊娠の場合は、出産予定日又は出産日が属する月の3か月前から6か月間の国民年金保険料が免除されます。
市区町村への手続き
転職先を決めずに退職した場合は、退職の日から14日以内に市区町村の窓口へ以下の物を持参して手続しなけれなりません。
□ 年金手帳
□ 印鑑
□ 会社が発行する退職証明書や離職票など、退職日を明らかにする書類
届け出を怠ると将来の老齢年金に影響があるだけでなく、未納期間中に事故などがあったときに、障害基礎年金や遺族基礎年金がもらえなくなることもあります。
国民年金保険料の支払いが困難なときは、減免を受けることができます。市区町村の国民年金窓口に相談しましょう。
すぐに再就職する場合は、原則として次の会社で厚生年金が継続する事になりますが、次の点に注意が必要です。
月末退職で、翌月すぐに他の会社に入社する場合
厚生年金は翌月徴収が一般的なので、月末退職の場合は、退職月分と資格喪失月である翌月分の2ヶ月分を徴収されます。新しい会社では入社の翌月から徴収され、年金の未納は生じません。
月の途中で退職し、翌月すぐに他の会社に入社する場合
厚生年金は翌月徴収が一般的なので、退職月に徴収された分は前月の分です。新しい会社では入社の翌月から徴収されるので、間の一ヶ月分が未納になってしまいます。この場合は、国民年金に1ヶ月だけ加入しなければ未納のままになってしまいます。