2024年11月10日

日記

読書記録 古代日本の官僚ー天皇に仕えた怠惰な面々 虎尾達哉著 中公新書

律令制度の実態について書いている本です。

律令制度は、天皇を頂点にして貴族が律令にのっとって実務を運営する政治体制です。貴族には政策決定に参画する上級貴族と、実務を担当する下級貴族がいました。この本で、「怠惰な面々」と指さされているのは下級貴族です。

怠惰の具体例。

朝賀儀という天皇への賀正の儀式の日に、「日が暮れるころになっても、六位以下は誰も集まらず、引率して整列させようにもできないありさまである」

六位以下全員無断欠勤。さらにすごいな、と思ったのは代返。

任官の儀式に出席しない官人がいたときに、なんと、儀式の進行役が代わり返事して、出席していたことにしたのだそうです。欠席は良くないので、実際はいなくても出席したことにする。記録には全員出席として残る。

多少の問題があっても実害がないのであれば目をつぶる、ないことにする、そうすれば角がたたない。人間関係がギスギスすることもない。という考え方ですね。

この本では、官僚の怠惰は律令制度が遅緩したから起きたわけではなく、律令制度の始めからこうだった。中国から律令制度を輸入したものの、それが整然と行われることは最初から期待していなくて、目に余るところまでいかなければ見て見ぬ振りをしていた。と著者は分析しています。

他にもたくさんの事例が紹介されています。やる気がない、無責任、ともちょっと違う、当時の役人の当たり前らしいです。

サボるというのは、今の社会では結構ハードルがあるものですが、社会背景が違うのだから、今の価値基準で論じるのは意味がないようです。古代の先輩方、下級役人はギリギリまでサボっていました。

感心するのは、これ以上やるとヤバい、という一線を超えないように頑張っていたところです。すごくしたたかです。


話が変わりますが、トランプ次期米大統領が、自分たちは(民主党とは違って)アーンドメディア(Earned Media)を使っているからお金がかからない、とポストしていました。私のような高齢者でも情報はXやインスタグラムから入ってきます。新聞はほとんど読まなくなったのでついに今年購読をやめました。


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