2024年11月16日

日記

先の月より、「ブラウン神父」と申す異国の連続物語を観始め申した。英吉利(イギリス)のBBCなるところがこしらえたる品にて、拙者はこれを「プライムビデオ」とやらで拝見しておる。今は、すでに第八のシリーズの途中まで至り申した。

もしこれ、御上の役人――つまりは八丁堀同心などが主人公であれば、事件が次々と起こるのも道理。しかしながら、片田舎の教会に仕える神父殿の周りに、これほどまでに殺し合いが頻発するとは、いささか不自然の感は否めぬ。されど、そこを咎めていては、物語そのものが成り立たぬ。故に、そこは野暮を言わぬが肝要にて候。

殺しの場面はあるものの、あまり凄まじき描写はなく、いたって穏やかに見られる趣き。事件が起こるたびに御番所から警部補殿が出張ってくるが、その推理、ことごとく空振りに終わる。すると、いつの間にやら神父殿が真相を見抜いており、「神の赦しを乞うのじゃ」と申して犯人に迫ると、犯人もまた観念して罪を告白する――毎度このような流れにて、実に小気味よき展開となっておる。

一話四十五分と相なり、だらだらせず、締まりよく事が運ぶのもまた良き哉。

さて、主役の神父殿、これがまたなかなかに面白き人物にて、真面目なる面持ちなれど、お茶目心も併せ持ち、競馬を好み、果ては自ら錠前破りまでやってのける。これまた型破りの人物像にて、見どころ多し。

物語中には、「臨終の秘跡」なるものや「告解」など、拙者には理解しかねる儀式も出てまいり、公爵夫人やその姪君らが神父館に日がな入り浸っておるのも、少々不思議に感じはするが、そのあたりは深く考えず、流すがよろし。

何より、夜床に就く前、心を鎮め、眠りへと誘うには、ちょうど良き塩梅の見物でござる。


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