2024年11月19日

日記

現役にて働いておった頃の読書と申せば、ほとんどが職務に関わるものばかりにて候。業務に資する論文、資料、解説書などを、必要に迫られて読んでおったものでござる。

そのかたわら、出張の折の車中などでは、浅田次郎殿、内田康夫殿、百田尚樹殿といった方々の小説に親しみ心の糧としておった。

されど、いざ勤めを終えて隠居の身となると、読書の趣向も大きく様変わりいたした。

近ごろは、現代の作家の筆になる書はほとんど手に取らず、むしろ昔の文豪たちの作品を好んで読むようになり申した。夏目漱石、森鷗外、野村胡堂――いずれも、いにしえの筆の冴えを味わうにはうってつけの面々にて候。

これらの作品、ありがたいことに著作権が切れておるゆえ、Kindleなる書見箱に全集を収めておけば、ほとんど只にて読み放題というわけである。

紙の書物も、いくらか手許に残っておる。隠居して間もなく、職務に用いた書籍や資料を古紙として処分いたした際、小説類の多くもまた、ブックオフなる書肆に持ち込んだ。されど、その中でどうしても捨てきれなかったものが今も手元に残っており、それを改めて手に取っては楽しんでおる。

いずれも一度は目を通したはずの書であろうが、記憶の糸はすでにほつれており、ほとんど初読のような心持ちにて、再び物語の世界に浸っておる次第。

読書と申せば、拙者にとっては、電車の中はさほど悪くないものの、カフェとやらはどうにも落ち着かぬ。やはり、我が部屋にて頁をめくるのが、最も心安らぐひとときでござる。


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