2024年12月1日

日記

読書記録 かたき討ちー復讐の作法 氏家幹人著 中公新書 2007年2月25日発行

かたき討ちについていろいろな実例や当時の観察者の見解を紹介している本です。

かたき討ちといってもいろいろです。例えば、「さし腹」はすごいです。相手に深い怨みをいだいたときに、その原因をつくった相手を指名したうえで自分の腹を切って死ぬ。そうすることで相手を切腹に追い込む。自分の命をかけての復讐です。

私などは、同じ命がけであれば相手に斬りつけた方が良いのでは、と思うのですが、それだと自分が負けて相手が生き延びるかもしれません。さし腹は確実に相手を死なせるための手段です。自分が死ねば相手も死ななければならなくなる、と確信できるのであれば、極めて有効な復讐方法です。

私は、敵討ちというものは、堂々と名乗りをあげて一騎討ちにおよぶ場面を想起していましたが、この本によればそういう単純なものではなかったようです。どのような手段を使っても勝てば良い、またかたきの方も、逃げ隠れするのは決して卑怯なふるまいではない、それどころか返り討ちにすれば称賛される、という、戦争の延長として考えられていたようです。

だいぶ前に、水戸黄門のテレビドラマで黄門様がかたき討ちに立ち会う場面をみた記憶があります。その時、討っての若者が危うしという場面で、立会人である黄門様がかたきに杖を投げつけて、かたきがひるむところに若者が撃ち込んで本懐をとげるという場面をみた覚えがあります(細部は不確かですが)。そのときは、立会人である黄門様が一方に加担するのはいかがなものかと思ったのですが、それは今の時代の感覚のようです。誰に助けてもらってでも勝てばよいのであって、また、黄門様が贔屓した相手を勝たせるために手を出すのは当然なのです。

たくさんの発見がありました。


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