久方ぶりに大雪ならぬ朝を迎え申した。昨夜からの新雪は五センチほどと、些少にござる。予報によれば、本日より明日にかけて雪は降らぬ由、胸を撫で下ろしておる。
さて、拙者の住む地区には「消流雪溝」と申す仕掛けが通されておる。道端に雪を入れる口がござって、そこに投げ込めば雪が流されていく道理。未だこの設備が無き地区の者からは、羨ましがられること甚だしき。
これが整えられてより、敷地内の雪のみならず、除雪の御用の車が置き残した雪もそこに放り込めば道幅を広げることが叶い、誠にありがたい仕掛けにござる。
ただ、難点もござって、ことに大雪の折、そして氷点下に気温が下がった折にはこの設備が役目を果たさぬ。よって、強き寒波が来れば使えぬものと、もはや心得ておるが、寒が緩み天気が回復すればまた流れ出すゆえ、待てば又流れるとものと納得しておった。
ところが今年は勝手が違う。大雪が止む気配なく続いている故、年の暮れよりずっと消流雪溝が使えぬまま、全く流れないのでござる。
目の前に立派に備わりし設備があるにもかかわらず、これを用いられぬ悔しさ、いよいよ募るばかりにござる。