本日は今年最初の月曜日にて、多くの商家や役所では仕事始めに相当致す日と存ずる。
さて、その仕事始めにまつわる折々のこと、若き頃を思い起こせば、拙者が勤めし会社では年頭にあたりて旦那様の新年の挨拶を拝聴し、そののち直ちに乾杯し酒を酌み交わす習わしにござった。
また別の会社では、午前中は取引先へ新年の挨拶に駆け回り、昼どき戻れば既に酒肴が用意されており、杯を傾けたものでござる。挨拶先に赴けば、そこでも新年の宴席に行き会うことさえあり申した。今となっては到底ありえぬ光景にござる。
また、年頭の挨拶は、謹賀新年の印を押した名刺を持ち駆け巡り申した。先方が席におらずとも構わず、むしろ留守ならば名刺を置いてくれば手早く済むので好都合。役所の中にはその名刺を納める箱を備えるところもござった。これらの作法、当時は不思議とも思わずこなしておったが、今にして思えばまさに虚礼、すでに廃れたであろうよ。