女優の中尾ミエ殿が、「もうすぐ八十」と申して、健康診断を受けるのをやめたとのこと。「その年になれば、病気になるのも道理」との言、まことに一理あると感じ申した。
拙者もまた、かつては勤め先において、年に一度の健診を受けておった。されど、それは健康の意義を深く認めてというよりも、定められた義務に従って、やむを得ず受けておったというのが正直なところ。ゆえに、勤めを辞してからは、一度も受けておらぬ。
もっとも、医者を毛嫌いしておるわけではない。「これは妙だ」と思うところあらば、ためらうことなく医師の門を叩いてきた。ここ十数年で申しても、幾度かそうしたことがあった。
近ごろの思いとしては――早期発見により病を知り、治療にて命が幾ばくか延びたとしても、その治療自体が身体に与える苦痛、心の負担を思えば、何も知らぬまま、呑気に過ごしておる方が、数段ましではないか――と、そんな風に考えておる。
もっとも、これは今のところの気持ちであって、いざというときになれば、「あのとき受けておれば…」と悔やむこともあるやもしれぬ。されど、それもまた自らの選びし道。悔やむことすらも含めて、潔く受け止めようと覚悟を定めておる。
さて、本朝は氷点下三度。日中には幾分上がって零度を超え、三度に達し申した。昼時より静かに雪が舞い始め、今も降り続いておる。予報によれば、明日の午前まで続くとのこと。降り方を見れば、これはなかなかの積もりよう。大雪になるやもしれませぬな。
2025年3月15日ーこのページー2025年3月17日