「あがさ・くりすてぃ」なる異国の作者がござる。
その筆による「ぽあろ」と「まーぷる」の物語、いずれも面白きものでござるが――
拙者はことにこの「まーぷる」の方に軍配を上げとう存じます。
「まーぷる」は、英吉利(いぎりす)の片田舎、「せんと・めあり・みーど」という架空の村に住まう、年老いた独り身のご婦人にて候。
身のまわりで起こる殺し沙汰に、時に口を挟み、するどき観察と推理で、見事に真相を明らかにしてゆく――その姿、実に見応えがござる。
このたびは「牧師館の殺人」という一編を、「びーびーしー」によるもの、もうひとつは「ITV」とやらの手になるもの、両方の映し絵にて見比べ、その後、あらためて文庫にて読み申した。
いやはや、まこと贅沢な時間を過ごした気分にござる。
「まーぷる」と申せば、以前――「えぬえいちけー」とかいう放送にて――見た記憶があるのだが……
このところ、「あまぞんぷらいむ」なるもので再び見始めてみれば、筋の細かきことどころか、なんと犯人の名まで、すっかり忘れておって、自らの記憶の衰えに驚かされ申した。
されど、忘れたがゆえに、まるで初見のように楽しめるというのも、老いの利と申せましょうな。
さて、今日は「端午の節句」、晴れて良き天気にて候。
とはいえ、どこか湿り気を残し、からりと晴れぬのが残念でござった。