このところ、店先にて「根曲がり竹」なる山の恵みを見かけるようになった。春の遅れた地にて採れる、細くて柔らかき筍にて、煮ても焼いても美味なる一品。
されど近年、この山入りが、なかなか命懸けの業(わざ)となりつつあるとのこと。何と申しても、熊が増えているゆえである。
知人のひとり、山々に囲まれた地に住む者がおるが、曰く――「たまに熊を見ることはあるが、いちいち役人には知らせておらぬ」――とのこと。
ゆえに、地元の新聞に載る「熊出没」の報せよりも、実際にはもっと多くの熊が、ひそかに人里近くへ現れているのではなかろうか、と、私などは案じている次第。
空は一日どんよりと曇り、今にも降り出しそうであったが、結局雨は落ちずじまい。
