このたび「世界陸上」なる催しが始まった由、かみさんが好むものゆえ、わが家は朝から晩までテレビが点きっぱなしだ。見るともなしに目に入るゆえ、ところどころではあるが、眺めている。生まれ持った才覚があるとはいえ、どれほどの努力を積み重ねて、あの場に立っているのだろうなと、感心しながら見ている次第だ。
私、幼い頃は体育がどうにも苦手でな、特に走ることが嫌いであった。ただ遊んでおる時に駆けることはよくあり、その時は、我が感覚では速く走っているつもりでいたのであるが、皆と並んで走ると、なぜ私が遅いのか、不思議に思っておった。
私は諦めがよいほうゆえ、特別に速くなりたいなどという気持ちは持たなんだ。それでも、わずかな欲はあり、運動会の徒競走では、ビリにならぬようにと念じながら走っておった。
運動会では、小学校も中学校も、背丈の高い順に六、七人ずつに区切られて走らされておった。私は、一番背の高い組と次の組のちょうど真ん中あたりにおったゆえ、運がよいときは第二組に入れた。子供の頃は背が高いほど総じて足が速いものゆえ、第二組に入れさえすれば、私でもビリにはならずにすんだものだ。
そのようなことにばかり気を遣うておったゆえ、今思うと残念なことだが、運動会が嫌いであった。長じて会社に入りし折、会社というところは走る必要がないのだな、と何かの拍子に感じ入ったことを覚えている。
今朝は気温十五度、肌寒く感じた。日中には二十八度まで上がりしも、そよ風が心地よく吹き、秋の訪れを感じた。