介護保険の施設サービスの種類と申込方法を具体的に解説

介護

介護保険の「施設サービス」は、要介護認定を受けた方が、自宅での生活が困難になった場合に、施設に入所・入院して介護や医療のサービスを継続的に受けるためのサービスです。

介護保険施設の種類と特徴

施設サービスは、主に以下の3つの種類があり、それぞれ目的や入居条件、提供されるサービスが異なります。

施設名正式名称・通称主な目的入居条件(原則)サービス内容
介護老人福祉施設特別養護老人ホーム(特養)生活の場(終の棲家)。自宅での生活が困難な方が長期入所し、生活全般の介護を受ける。要介護3以上介護(食事、入浴、排泄など)、機能訓練、健康管理
介護老人保健施設老健(ろうけん)在宅復帰・リハビリテーション。病状が安定し、集中的なリハビリが必要な方が入所する。要介護1以上医学的管理下での介護、看護、リハビリテーション
介護医療院新設された施設(旧・介護療養型医療施設の転換先)長期療養。重い医療依存度や継続的な医学的管理が必要な方の長期療養と生活支援。要介護1以上医療、看護、介護、看取り

施設サービスを利用するための条件

施設サービスは、要介護認定で「要介護1〜5」と認定された方のみが利用できます。要支援1・2の方は利用できません。

  • 特別養護老人ホーム(特養)原則として要介護3以上の方が入居対象です。
  • 介護老人保健施設(老健)・介護医療院要介護1以上の方が入居対象です。

施設サービス利用時の費用負担

施設サービスを利用する場合、利用者が負担する費用は以下の4つに分かれます。

  1. 施設サービス費(介護費用)
    • 要介護度居室の種類によって費用が異なり、費用の1割(または所得に応じて2割・3割)を自己負担します。
  2. 居住費(滞在費)
    • 部屋代。部屋のタイプ(多床室、従来型個室、ユニット型個室など)によって料金が異なります。
  3. 食費
    • 食材料費と調理費。
  4. 日常生活費
    • 理美容代、おむつ代(特養・老健では原則サービス費に含まれる)、新聞代などの雑費。

💡 負担限度額認定について

居住費と食費は、介護保険のサービス費とは別に全額自己負担が原則ですが、所得が低い方には、申請により「負担限度額認定証」が交付され、食費・居住費の一部について公的な助成(軽減措置)を受けられます。

施設サービス申込みの具体的な流れ

介護保険の施設サービス(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院)の申込みは、原則として利用を希望する各施設に対して直接行います。

居宅サービスのケアマネジャーが手続きをするわけではありません。

施設の種類によって、申込みの窓口や流れが少し異なります。

特別養護老人ホーム(特養)の場合

特養は長期的な生活の場であるため、入所待ちが長くなる傾向があります。

  • 申込み先: 利用を希望する各施設に直接申込みます。
  • 申込み方法: 各施設の窓口で入所申込書を受け取り、必要書類(介護保険証の写し、直近の居宅サービス計画書など)を添えて提出します。
  • 入所決定: 施設が作成する「入所検討委員会」などで、緊急性や必要性に応じて検討され、入所順位が決定します。申込み順ではなく、介護の必要性の高い方が優先されます。

介護老人保健施設(老健)・介護医療院の場合

老健と介護医療院は、在宅復帰や長期療養が目的であるため、特養よりも入所・退所のサイクルが速い傾向があります。

  • 申込み先: 利用を希望する各施設に直接申込みます。
  • 申込み方法: 各施設の相談員(支援相談員や医療ソーシャルワーカー)に連絡を取り、面談などを経て申込み手続きを行います。
  • 入所決定: 施設の空き状況や利用者の医療・リハビリの必要性に応じて、比較的スムーズに手続きが進むことがあります。

申込み手続きをスムーズに進めるために

施設サービスを検討し始めたら、まずは以下のことを行いましょう。

  1. 担当ケアマネジャーに相談する: 現在の担当ケアマネジャーに、施設入所の希望を伝え、施設の候補や特徴について助言をもらいます。
  2. 情報収集する: 複数の施設を見学し、施設の環境、費用、看取り体制などを比較検討します。
  3. 同時申込みを活用する: 特に特養の場合は入所までに時間がかかるため、複数の施設に同時に申し込んでおくことが一般的です。