カレーライスは、拙者の好物の一つにござる。されど、加里であれば何でも良いというわけではない。拙者には少々ばかりこだわりがある。
それは、スパイスがあまり効いておらぬ、どちらかというと「子供向けの味」とでも申すのであろうか、あの懐かしい味が好きなのでござる。辛きものが苦手にて、市販のルーだと中辛が精一杯、いつも甘口を求め申す。
故に、巷にある加里の専門店などには、なかなか足が向かぬ。きっと、拙者の味覚は子供の頃より変わっておらぬのであろう。外で食すとなると、ドライブインやサービスエリアのフードコートの、あの素朴なる加里が、値も含めて性に合っておる。
子供の頃のわが家の加里は、他所様の家はいかにであったか分からぬが、煮込む際に小麦粉を水で溶いたものを入れておった。粘りを出すためと聞かされてきたが、あれは子供心にも好きではなかった。そして、肉が手に入りにくい時代であったから、具といえば、竹輪とか魚肉ソーセージが入っておったのを覚えておる。豚肉が入った加里を食したのは、たしか中学生になってからのこと。牛肉に至っては、社会人になって、初めて外で食したものであったか。
レトルトのカレーの中には美味なるものがあると聞くが、香辛料が強いとがっかりするゆえ、なかなか手が伸びぬ。やはり、わしが一番落ち着くのは素朴なる加里だ。レトルトならば、商品名をあげて恐縮だが、ボンカレーが一番と存ずる。
本日も肌寒い一日にて候。
2025年10月21日ーこのページー2025年10月23日