日々の食事は、もっぱら家内が支度してくれ、ありがたい限り。家内は料理の腕が立ち、味には一切不満はない。
されど、たまさか、昼餉の刻に限って細君が留守にする日がある。そのような折、拙者の強い味方となるのが、レトルト食品、と申す代物よ。
馴染みのスーパーのレトルトの品が並ぶ棚を覗けば、その種類の多さにまず目を瞠はる。カレーのレトルトは、昔はごく僅かな種類しかなかったと記憶しているが、今は「ご当地カレー」から「専門店のこだわり」と銘打つ品まで、棚一面に並んでおる。もっとも、拙者はあまりカレーには目がいかずもっぱら牛丼や麻婆丼といった丼物であるが、これまた種類が豊富ゆえ、選ぶ楽しみがある。
拙者が自ら調理するとなると、腕前が追いつかぬ。炒め物か、せいぜいインスタントラーメンに野菜を足す程度で、献立が偏るばかりだ。されど、このレトルト食品であれば、ほとんどワンコインで、手間いらずに手の込んだ献立がすぐに味わえる。
かつては「やむを得まい、今日はレトルトで凌ぐか」という後ろ向きな心持ちであったが、今は違う。「今日はどんな珍しいものを試そうか」と、むしろ積極的に選びたくなる。細君は、拙者が粗末なもので腹を満たしているのではないかと案じるようだが、心配ご無用。留守番にも、それなりの楽しみがあるというものよ。
今日は肌寒い一日であったが、まだ雪は降り申さず。
2025年10月27日ーこのページー2025年10月29日
