デジカメやスマホで写真を撮るようになってからはデータで保存していますが、以前はプリントしてアルバムに貼っていました。アルバムに貼っている写真のいくつかをデジタル化しようと思って、スマホで一枚づつ撮影してみましたが、光が反射したりしてうまく撮れませんでした。ということで、少々試行錯誤した記録です。
スマホ撮影での反射を防ぐ工夫
写し方の工夫
スマホで撮影する際、光の反射(映り込み)は、光源(光の当たる角度)とカメラ(反射を見る角度)が同じ角度になると発生します。これを避けるためにいくつか工夫するべきことがあるようです。
- 照明の工夫:
- フラッシュは使わない。
 - 自然光(窓からの光)を間接的に利用します。写真に直射日光が当たらないように注意し、窓を背にして立たない(自分の影が入るのを避ける)。
 - 天井の照明など、光源の位置を工夫し、写真の表面に光が反射して映り込まない角度を探す。写真に対し斜め45度程度の角度から光が当たるように調整すると、反射を抑えやすい。
 
 - カメラアングルの工夫:
- 写真に垂直にカメラを構えるのが基本ですが、どうしても反射が消えない場合は、反射が最も少なくなる角度を探して少し斜めから撮影してみます。その後、写真加工アプリで歪みを補正します。
 
 
反射を自動除去するアプリ
スマホのカメラ機能で反射を防ぐには限界がありますが、反射除去機能を持った専用アプリを使うと、格段にきれいにデジタル化できます。
Googleフォトの「フォトスキャン」
Googleが提供している無料アプリです。
- 写真を何回かに分けて撮影し、自動で画像を合成することで、光の反射を自動的に除去してくれます。
 - 操作は画面の指示に従い、4つの白い丸に合わせてスマホを動かすだけなので簡単です。
 - 傾きや角の調整も自動で行ってくれるため、手軽に高品質なデジタル化が可能です。
 
Microsoftの「Office Lens (Microsoft Lens)」
Microsoftが提供する無料アプリです。
- 主に書類のスキャンに使われますが、写真のスキャンにも対応しており、影や反射を防ぎながら撮影するのに役立ちます。
 
専用スキャナーを使う
- 高画質でのデータ化を求める方や、枚数が比較的多い方におすすめ。
 - フラットベッド型のスキャナーであれば、写真を置いてボタンを押すだけで簡単にスキャンできる。
 
コンビニのマルチコピー機を使う
- 手軽さと一定の画質を求める方、少量のデータ化であればおすすめ。
 - セブンイレブンなど一部のコンビニでは、マルチコピー機で写真のスキャンサービスを提供しており、USBメモリや専用アプリ経由でデータを受け取れます。
 
写真デジタル化専門店(業者)を利用する
- 大量の写真があり、手間をかけたくない方、最高の仕上がりを求める方におすすめ。
 - アルバムごと発送できる業者や、ネガフィルムからのデジタル化に対応している業者もあります。コストはかかりますが、高品質で短期間に大量の写真をデジタル化できます。
 
Googleフォトの「フォトスキャン」
Googleフォトの「フォトスキャン」が良さそうなのでやってみました。
フォトスキャン by Google フォトの作業手順
1. アプリの準備と写真の配置
- アプリをインストール
- App Store または Google Play で「フォトスキャン by Google フォト」を検索し、スマホにインストールします。
 
 - 写真を準備
- スキャンしたい写真を平らな場所に置きます。
 - 写真と対照的な色(白の写真なら濃い色の机など)の面に置くと、写真の端を正確に検出しやすくなります。
 - ホコリや汚れがあれば、事前にやさしく取り除いておくと仕上がりがきれいになります。
 
 - アプリを起動
- アプリを起動し、必要に応じてカメラとストレージへのアクセスを許可します(初回のみ)。
 
 
2. スキャン(撮影)の実施
- フレームに収める
- デジタル化したい写真全体が、スマホの画面内のフレームに収まるようにスマホをかざします。
 
 - シャッターボタンを押す
- 画面下中央にあるシャッターボタン(白い丸)をタップします。
 
 - 4つの丸をなぞる
- 写真の上に4つの白い点(●)が表示され、画面中央に白い枠線付きの丸(○)が現れます。
 - スマホを動かし、この中央の丸(○)を、4つの白い点(●)に順番に重ねていきます。
 - スマホを傾けず、ゆっくりと動かすのがポイントです。丸が点に重なると、その位置の撮影と合成のための処理が自動で行われます。
 
 - スキャン完了
- 4つの点をすべてスキャンし終えると、自動的に合成処理が始まり、スキャンが完了します。
 
 
光の反射除去の仕組み
この「4つの点をなぞる」作業は、異なる角度から光が当たった複数の画像を撮影していることになります。フォトスキャンは、これらの画像を合成することで、どの写真にも映り込んでいない「反射のない部分」を組み合わせ、光の反射を自動的に除去した一枚の画像を作り出します。
画像の確認と調整
- 結果を確認
- 画面右下のサムネイル(スキャンされた写真)をタップして、結果を確認します。
 
 - 角(トリミング)の調整
- 写真の端の検出や角度補正は自動で行われますが、もし写真の端がズレていたり、トリミングしすぎている場合は、編集画面の「角を調整」(または「切り取り/編集」のようなメニュー)をタップします。
 - 表示された枠の四隅(角)や辺をドラッグして、写真の正しい輪郭に合わせて調整します。
 
 - 保存
- 調整が完了したら、画像はスマホのストレージ(カメラロール/ギャラリー)に自動で保存されます。Google フォトアプリと連携していれば、クラウドにもバックアップされます。
 
 
写真の整理
次に、デジタル化した写真の整理について考えてみました。検索できるようにしたいです。
主な方法は以下の3つです。
ファイル名に情報を加える(一般的で確実な方法)
- 概要: ファイル名の末尾や先頭に、写真の内容を表すキーワードや日付などを追加します。
 - メリット:
- 汎用性: どのOS、どのストレージ、どの写真管理ソフトでも確実に情報が確認できます。
 - 検索性: PCやクラウドのファイル名検索機能を使って、キーワードで写真を見つけられます。
 
 - 工夫例:
[日付]_[場所]_[写っている人・イベント名].jpg- 例: 
20050815_沖縄旅行_美ら海水族館_家族.jpg 
 - デメリット: ファイル名が長くなりすぎると扱いにくくなる場合があります。
 
メタデータ(Exif/IPTC情報)に情報を加える
デジタル写真には、撮影情報(Exif)や、それ以外の情報(IPTCなど)を埋め込むための領域があります。これに「説明」や「キーワード」を追加する方法です。
A. タイトル/説明 (Caption/Description)
- 概要: 写真そのものに、その写真が写している内容を文章で記述する情報です。
 - メリット:
- ファイル名と異なり、より長い文章で詳細な説明を記述できます。
 - 多くの写真管理ソフトやクラウドサービス(Googleフォトなど)で、この説明文を使って検索できます。
 
 
B. タグ/キーワード (Tags/Keywords)
- 概要: 写真の内容を表す単語や短いフレーズ(タグ)を埋め込みます。
 - メリット:
- 「誕生日」「祖父母」「運動会」など、複数のキーワードを写真に付与して整理できます。
 - ファイル名に含めきれない情報を整理に利用できます。
 
 - デメリット:
- 情報を追加するには専用の写真編集ソフトや管理ソフトが必要です。
 - ファイル名ほどではないものの、対応していない一部の古いシステムでは情報が引き継がれない可能性があります。
 
 
写真管理ソフト/クラウドサービスで整理する
Googleフォト、Amazon Photos、Windows/Macのフォトアプリなどのサービスを使うと、情報付加や整理がより強力になります。
A. アルバム(フォルダ)で整理する
- 概要: 写真をテーマやイベントごとに「アルバム」や「フォルダ」に分類します。
 - メリット:
- 写真を開かなくても、アルバム名を見るだけで、どんな写真の集まりかが一目で分かります。
 - 管理画面での操作が直感的です。
 
 
B. 人物・物体の自動認識機能を使う
- 概要: Googleフォトなどが持つ機能で、AIが写真に写っている人物、ペット、場所、物を自動で認識し、タグ付けしてくれます。
 - メリット:
- 手動でタグ付けする手間が大幅に省け、「〇〇さんの写真」「雪の写真」といった検索が非常に簡単になります。
 
 
終活も考えてみました
デジタルデータの場合、アカウント所有者が亡くなるとデータが消滅するリスクがあります。
Googleでは、アカウント所有者に万が一のことがあった場合に、ご自身のデータ(Googleフォトを含む)を信頼できる人に引き継いだり、削除したりするための仕組みを用意されています。
アカウント無効化管理ツール
Googleでは、アカウントが一定期間使用されなかった場合に、データをどう処理するかを生前に設定できる「アカウント無効化管理ツール(Inactive Account Manager)」を提供しています。
この機能を使うことで、Googleフォトのデータを、アカウントが消滅する前に指定した人に引き継ぐことが可能です。
動作開始までの期間を設定する
- アカウントが使用されなくなってから、どれくらいの期間(3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月など)が経過したら、データの処理を開始するかを設定します。
 
連絡を受ける「通知連絡先」を設定する
- 指定した期間が経過する直前に、ご本人の予備メールアドレスと、設定した通知連絡先(家族や友人など)に、アカウントが無効になることを通知するメールが送られます。
 
データを受け取る「指定の連絡先(継承者)」を設定する
- 最も重要なのがこの設定です。最大10人まで、データを受け取る人を指定できます。
 - この指定された人には、アカウントが無効化された後、Googleフォト、Gmail、Googleドライブなど、どのサービスのデータを共有するかを選択して引き継ぐことが可能です。
 - 継承者がデータを受け取ると、そのコピーをダウンロードできます。
 
アカウントを削除する期間を設定する
- データの引き継ぎが完了した後、最終的にアカウントを削除するかどうか、およびその期間を設定できます。
 
共有パートナー設定の活用
共有パートナーとは
ご自身の身に万が一のことが起こる前に、家族など特定の誰かが写真にアクセスできるようにしておけば、より確実です。
Googleフォトの「共有」機能を使って、家族のGoogleアカウントと「パートナー共有」を設定するのが最も簡単で効果的です。
- 自動共有: 共有パートナーに設定した相手は、あなたがアップロードしたすべての写真または特定の日付以降の写真を自動的に共有できます。
 - 写真の保存: 共有された写真は、相手側で設定をすれば、相手のGoogleフォトに直接保存(コピー)されます。
 - 消滅リスクの回避: 相手のアカウントに保存された写真は、あなたのGoogleアカウントが消滅しても削除されずに残ります。
 
共有パートナーの設定
「共有パートナー」機能を使えば、ご自身のアカウントにある写真を、信頼できる家族のアカウントに自動で共有し、相手側で確実に保存することができます。
この設定はスマートフォンアプリ(iOS/Android)またはパソコンのWebブラウザから行えます。
「共有パートナー」に指定できるのは1人だけです。
ステップ1:共有パートナーの招待
- Googleフォトアプリを開く
- スマートフォンでGoogleフォトアプリを起動します。
 
 - 設定画面へ移動
- 画面右上のご自身のプロフィール写真(またはイニシャル)をタップします。
 - メニューから「フォトの設定」を選択します。
 
 - パートナーとの共有を選択
- 「共有」の項目にある「パートナーとの共有」をタップします。
 
 - パートナーを選択
- 「共有パートナーを選択」をタップし、写真を引き継ぎたい相手のGoogleアカウント(Gmailアドレス)を選択または入力します。
 
 - 共有する写真の条件を設定
- 「開始日の選択」: 「全期間」(すべての写真)または「特定の日付以降」を選択します。古いプリント写真をデジタル化したばかりであれば、「全期間」を選択するのが確実です。
 - 「共有する写真を選択」: 「すべての写真」または「特定の人物が写った写真のみ」を選択します。確実に全てを共有したい場合は「すべての写真」を選択します。
 
 - 招待を送信
- 設定を確認し、「確認」または「招待を送信」をタップします。
 - 相手に招待メールが送信されます。
 
 
ステップ2:招待の承認と自動保存設定(相手側での操作)
招待された側(引き継ぐ家族)が、写真が自動で保存されるように設定します。これがアカウント消滅後もデータを残すための重要な手順です。
- 招待を承認
- 招待されたパートナーは、Googleフォトアプリまたは届いたメールから招待状を開き、「承認」します。
 
 - 「自動保存」を設定する
- 承認後、パートナーとの共有設定画面で「[あなたの名前]さんの写真を自動保存」という項目を探します。
 - その下の「設定を変更」をタップします。
 - 「すべての写真」を選択して「完了」をタップします。
 
 
【重要!】
この「すべての写真」を相手のアカウントに自動保存する設定をすることで、あなたのGoogleアカウントに万が一のことがあっても、相手側のアカウントに写真データがコピーされて残り続けます。
写真をローカルにダウンロードしておく
Google Takeoutなどの機能を使って、Googleフォトに保存されている写真データを全てダウンロードし、外付けハードディスクやPCなどに保存しておくことで、アカウントの有無にかかわらず、物理的なデータとして家族に残せます。
ステップ1:エクスポート(ダウンロード準備)の開始
Google Takeoutはウェブブラウザ(PCでの操作を推奨)で行います。
- Google Takeoutのページにアクセス
- Googleアカウントにログインした状態で、Google Takeoutのページにアクセスします。
 
 - ダウンロードするデータを選択
- 画面にGoogleアカウント内のサービス一覧が表示されます。
 - 最初はすべてにチェックが入っているので、まず「選択をすべて解除」をクリックします。
 - リストの中から「Googleフォト」を探し、チェックを入れます。(他にもダウンロードしたいデータがあればチェックを入れます。)
 
 - Googleフォトの対象データを選択(オプション)
- 「Googleフォト」の項目の右側にある「すべてのフォトアルバムが含まれます」をクリックすると、ダウンロード対象を絞り込めます。
 - 年ごと、または作成済みのアルバムごとに絞り込むことができます。特定の写真だけが必要な場合はここで選択します。全データが必要な場合はそのままにします。
 
 - 「次のステップ」へ進む
- 画面を下にスクロールし、「次のステップ」をクリックします。
 
 
ステップ2:エクスポート形式の設定
次に、作成するアーカイブ(データパッケージ)の詳細を設定します。
| 設定項目 | 推奨設定と説明 | 
| 配信方法 | 「ダウンロードリンクをメールで送信」を選択します。(これが最も一般的で簡単です) | 
| 頻度 | 「1回エクスポート」を選択します。 | 
| ファイル形式 | 「.zip」(Windows/Macで一般的に扱える形式)を選択します。 | 
| ファイルサイズ | 通常は「2GB」で十分ですが、写真の総容量が大きい場合は「4GB」や「10GB」などを選択すると、分割されるファイルの数が減って管理しやすくなります。 | 
ステップ3:エクスポートの作成とダウンロード
- 「エクスポートを作成」をクリック
- 設定を確認し、「エクスポートを作成」をクリックすると、Googleがデータのアーカイブ作業を開始します。
 
 - 処理の完了を待つ
- データの量によって、数時間から数日かかることがあります。処理中はPCの電源を切っても問題ありません。
 
 - メールでダウンロードリンクを受信
- エクスポートが完了すると、設定したメールアドレスに「Googleデータのエクスポートが完了しました」という件名のメールが届きます。
 - ダウンロードリンクの有効期限は通常7日間なので、メールが届いたらなるべく早く作業をしてください。
 
 - ファイルをダウンロード
- メール内の「ファイルをダウンロード」ボタンをクリックし、パスワードを入力して認証を行います。
 - zip形式で圧縮されたファイル(ファイルサイズで分割されている場合は複数ファイル)がPCにダウンロードされます。
 
 
ステップ4:データの解凍と確認
- ファイルを解凍
- ダウンロードしたzipファイルを右クリックし、「すべて展開」などで解凍(展開)します。
 
 - データ構造を確認
- 解凍されたフォルダ内には、通常「Googleフォト」などのフォルダがあり、その中に写真や動画が保存されています。
 
 - メタデータの確認(重要)
- Takeoutでダウンロードした写真ファイルには、撮影日時などの情報を持つ「metadata.json」というファイルが写真ごとに付随しています。元の正確な情報を保持するために、写真ファイルとこのJSONファイルを一緒に保存してください。
 
 
これで、Googleフォト上の大切な写真を、ローカル環境(PCや外付けHDDなど)に物理的なデータとして引き継ぐことができます。
  
  
  
  