運転免許証返納後の買い物の変化

メモ

長年慣れ親しんだ車の運転。そのシンボルである運転免許証を返納することは、高齢期の大きな節目であり、日々の生活に大きな影響を及ぼします。私は73歳で運転免許証を返納したのですが、ようやく、運転免許の無い生活に慣れてきたところで、車が無くなって実際どうだったか、今思っていることを書いておこうと思います。今回は買い物についてです。

まずは歩くしかない

運転免許証を返納して痛感するのが「気軽に買い物に行けなくなる」ことです。

車で数分の距離が、一気に「重い荷物を持って歩く道のり」に変わります。徒歩圏内(20~30分以内)にスーパーがない場合、特に生鮮食品の買い物は困難を極めます。

私の場合徒歩15分のところにスーパーがあります。有り難いことにここでほとんどの買い物ができます。容量の大きいリュックを背負って歩いて買い物に行っています。

ただし、この15分、往復30分、特に帰りは重い荷物を持っての歩きですから簡単ではありません。体力がなかったり、膝や腰が痛ければできないなあ、と思いながら歩いています。もっと年を取ればどうなるだろう、という心配が胸をかすめることもあります。

格別重いものや大きなものは無理です。ペットボトルのドリンクの箱買いは出来なくなりました。このようなものは、ネット通販や宅配してくれるスーパーに切り替えました。

歩くことについて少し書きます。

私は現役時代は数分の距離でも車を運転していました。なので、そのままだったら歩けない老人になるところでした。それが、たまたまダイエットのためにジムに通って、トレッドミルで歩いていたことで、一応、歩くことに慣れることができました。ジムはコロナ禍のときにやめて、自宅周辺のウォーキングに変えたのですが、さらにそれが良かったと思います。

ウォーキングを始めて分かったのですが、道路は起伏やデコボコなどの障害物が意外にたくさんあります。トレッドミルで何キロ歩けても、それは運動にはなりますが、実際の道を歩くのとは別なのです。まだ車があるうちに1年ほどウォーキングしていたことが、大いに役に立ちました。

そうした経験から、運転免許返納を考えているなら、できるだけ早く「歩く練習」を始めることを推奨します。片道20~30分を平気で歩ける足腰があれば、行動範囲が格段に広がります。これは買い物だけでなく、老後のさまざまな活動すべてに影響します。

公共交通機関に慣れる

車以外の交通手段に慣れておくことは、運転免許返納後の生活の質を大きく左右します。

バスや電車は、時間と場所に制約があります。「行きたいときに、すぐそこへ」というわけにはいきません。

主に利用すると思われるバス路線に、返納前からあえて乗ってみました。最初は戸惑うこともありましたが、路線図、時刻表の確認、運賃の支払い方など、慣れてしまえばスムーズです。

自治体が運行するコミュニティバスは、分かりにくいのですが、これも実際に乗ってみるのが一番です。高齢者にとって利用しやすいルートや運賃設定になっています。

駅までバスで出たら、さらに電車に乗ってちょっと遠くの駅まで行って、駅ビルや駅前の大型店で買い物してくるのも気分転換になって良いものです。また、産直や道の駅のなかには、駅から近いところに立地しているところもあります。ただ、思わず重いものを買ってしまうと帰り道が少々大変ではありますが。

ネットや宅配を活用する

重い荷物を運ぶ苦労から解放する救世主がネットショッピングと宅配サービスです。玄関前まで運んでくれます。

Amazon、楽天、ヨドバシなどの総合通販を利用し、日用品は「まとめ買い」に切り替えました。特にヨドバシを活用しています。また、私はAmazonプライム会員になっているのでAmazonも送料の心配がありません。プライム会員は映画やドラマも楽しめます。

スーパーや生協の宅配は、ネットのように無料配達ではありませんが、重い生鮮食品や飲料の買い物に便利です。利用先を複数にすると管理が煩雑になるため、サービス内容、配達頻度、料金などを比較し、最も使いやすい業者に一本化するのが賢明だと思います。

究極の工夫は買い物しないこと

運転免許証の返納は、単なる「不便」ではなく、「無駄のない生活」への発想転換のチャンスです。

以前のように頻繁に店に行けなくなりますが、お店に行く回数が減ると、「ついで買い」や「衝動買い」が激減します。特にコンビニなどへの立ち寄りが減れば、無駄なスイーツなどを買わなくなり、ダイエットと財布の節約に一石二鳥の効果があります。

つまり、無駄遣いがなくなり、計画的に買い物をする生活は、年金生活者にとってとって合理的な生活ではないか、と前向きにとらえています。


運転免許証返納後の生活は、工夫次第で「無駄に買わない、健康的で、ゆとりある老後」へと進化します。便利なサービスを賢く使いこなし、何よりも「歩く」こと、歩けることが大事だと実感しています。