年金受給中に必要になるかもしれない年金手続き

定年

手続きが必要なケース

年金受給者の方が年金機構に手続きが必要になる主なケースは、以下の通りです。

受給資格・年金額に関わる変更

  • 氏名が変わったとき
    • 結婚などで氏名が変更になった場合。
  • 年金の受取先金融機関を変更するとき
    • 年金が振り込まれる口座を変更したい場合。
  • 住所が変わったとき(例外あり)
    • 原則としてマイナンバーが登録されていれば住民票の異動情報で自動的に変更されるため、届け出は不要です。
    • ただし、住民票の住所と異なる場所(居所)に通知書等の送付を希望する場合や、マイナンバーが未登録・未連携の場合は届け出が必要です。
  • 海外に転居したとき・海外から帰国したとき
  • 加給年金額の対象者に異動があったとき(加給年金を受けている方)
    • 配偶者や子が死亡・離婚した、配偶者が年金を受け取るようになった、子が進学や就職などで加給年金の対象から外れる場合など、生計維持関係が変わったときに「生計維持確認届」などの提出が必要になります。
  • 老齢年金の受給開始年齢に達したとき
    • 特別支給の老齢厚生年金を受けていた方が65歳になったときなど、次の年金を受け取るための請求手続きが必要です。
  • 障害年金を受けている方が、障害の程度を確認するとき(障害年金を受けている方)
    • 誕生月の3ヶ月前に送付される「障害状態確認届」に診断書を添えて提出が必要です。

ご本人またはご家族に万が一のことがあった場合

  • 年金を受けている方が亡くなったとき
    • すみやかに「年金受給権者死亡届(報告書)」を提出する必要があります。提出が遅れると、年金を多く受け取りすぎることになり、後で返還する必要が生じることがあります。
    • 未支給年金(亡くなった方にまだ支払われていなかった年金)を受け取る手続きも必要です。

その他の手続き

  • 年金証書・通知書の再交付を希望するとき
  • 2つ以上の年金を受ける権利ができたとき
  • 厚生年金保険に加入している方が住所を変更したとき
    • ご本人が手続きをするのではなく、勤務先から年金事務所へ「被保険者住所変更届」の提出が必要です。

ご自身の状況に合わせて、具体的な手続きの要否や必要書類については、日本年金機構のホームページを確認するか、「ねんきんダイヤル」またはお近くの年金事務所・街角の年金相談センターにお問い合わせください。

補足:受取口座の変更

手続きの内容によって「できる場合」と「できない場合」があります。

公金受取口座に変更する場合はマイナポータルから可能です

年金を受け取る金融機関を変更する手続きは、以下の条件を満たせば、マイナポータルを通じた電子申請が可能です。

変更後の口座手続き方法
公金受取口座に登録している口座マイナポータルから電子申請可能
公金受取口座に登録していない口座郵送または年金事務所等での窓口手続きが必要

つまり、変更したい口座を事前にマイナポータルで「公金受取口座」として登録していれば、年金機構の「年金受取機関変更届」を電子申請できます。

マイナポータルから手続きする手順

  1. 公金受取口座の登録:事前にマイナポータルで、年金の受取先としたい口座を公金受取口座として登録します。
    • (注)この登録には審査・処理に最長で2週間程度かかることがあります。
  2. マイナポータルにログイン:スマートフォンでマイナポータルアプリにログインします。
  3. 「年金受取機関変更届」の申請
    • マイナポータルのトップ画面で「おかね」の項目までスクロールし、「年金」を選択します。
    • 「老齢年金の受給」欄などから「年金受取機関変更届」を選択し、画面の案内に従って申請を行います。
    • この際、変更先の口座として登録済みの公金受取口座を指定します。

公金受取口座以外に変更する場合

公金受取口座に登録していない金融機関の口座に変更したい場合は、従来通り以下の方法が必要です。

  1. 「年金受給権者 受取機関変更届」を入手する(年金事務所または日本年金機構ホームページからダウンロード)。
  2. 届書に必要事項を記入し、新しい金融機関で証明を受ける(または、通帳等のコピーを添付する)。
  3. 年金事務所または街角の年金相談センターに提出(郵送も可)する。

変更したい口座が公金受取口座として登録されているか、まずはマイナポータルで確認してみてください。

補足:住所変更

市区町村に住所変更を届け出すれば、通常は年金機構にあらためて届け出する必要はありませんが、次のようなケースでは、自動的に情報連携されません。日本年金機構への届け出が必要になる主なケースは次の3つです。

1. マイナンバーが日本年金機構に未登録・未連携の場合

最も基本的な例外です。

  • 状況: マイナンバーカードを持っていても、日本年金機構の記録と基礎年金番号が紐づいていない(未登録・未連携の)場合です。
  • 必要な手続き: この場合は住民票の異動情報が年金機構に連携されないため、従来通り「年金受給権者 住所変更届」の提出が必要です。

2. 住民票の住所と別の場所(居所)に通知書等の送付を希望する場合

年金に関する重要なお知らせや通知書を、住民票上の住所ではない場所で受け取りたい場合に該当します。

  • 状況: 例として、普段は離れた場所に住む家族の家にいることが多い場合や、施設に入所しているが住民票は実家のままになっている場合などです。
  • 必要な手続き: 住民票の異動とは別に、「年金受給権者 住所変更届」を提出し、「通知書等の送付先」として居所を届け出る必要があります。

3. 成年後見を受けている場合

成年後見制度を利用している受給者の方も、届け出が必要になる場合があります。

  • 状況: 受給者の方が成年後見制度を利用されている場合です。
  • 必要な手続き: 成年後見人が選任されている場合、年金機構への住所変更等の手続きは、別途の届け出が必要となることがあります。

その他の注意点

  • 厚生年金に加入している方: 年金を受けている方がお勤め先で厚生年金保険に加入している場合、住所変更は勤務先から年金事務所へ「被保険者住所変更届」を提出することで行われます。この場合、ご本人が年金機構に直接手続きをする必要はありません。
  • 共済組合等の年金: 過去に共済組合に加入していた期間があり、共済組合等から年金を受けている場合、共済組合等の情報は自動で更新されないため、共済組合等には別途手続きが必要です。

ご自身のマイナンバーの登録状況や、通知書の送付希望先が住民票の住所と異ならないかをご確認いただくのが確実です。ご自身のマイナンバーが日本年金機構の年金記録と紐づけられているか(登録されているか)を確認するには、主に以下の3つの方法があります。

オンラインで確認する方法

スマートフォンやパソコンから、すぐに確認できる方法です。

A. マイナポータルで確認する

マイナンバーカードをお持ちであれば、最も手軽で確実な方法です。

  1. マイナポータルにログインします。
  2. トップページで「年金」ボタン(または「年金記録を確認する」などのリンク)をクリックします。
  3. 画面にご自身の基礎年金番号が表示された場合、マイナンバーと基礎年金番号の紐づけが完了していると判断できます。
B. ねんきんネットで確認する

ねんきんネットの利用者登録をしていれば、こちらでも確認できます。

  1. ねんきんネットにログインします。
  2. ねんきんネットのトップページなど利用者情報が表示される画面で、ご自身の基礎年金番号が確認できれば、マイナンバーが収録されています。
    • (注)マイナポータルからねんきんネットに連携してログインすると、さらに簡単に確認できます。

電話で確認する方法

ねんきんダイヤルに問い合わせる

ご自身の年金記録について電話で相談・照会できる「ねんきんダイヤル」に問い合わせることで、マイナンバーの登録状況を確認できます。

  • ねんきんダイヤル: 0570-05-1165 (ナビダイヤル)
    • IP電話・PHSからは 03-6700-1165

【注意】 電話での問い合わせの際、本人確認のために基礎年金番号や氏名、生年月日などを尋ねられますので、年金手帳や年金証書などを手元に用意しておきましょう。

窓口で確認する方法

年金事務所や街角の年金相談センターに行く

お近くの年金事務所または街角の年金相談センターの窓口で、直接職員に確認することも可能です。

  • 持参するもの(本人確認のため):
    • マイナンバーカード
    • 運転免許証や健康保険証などの本人確認書類
    • 基礎年金番号がわかる書類(年金手帳、年金証書など)

補足:死亡届

年金受給者の方が亡くなられた場合、日本年金機構にマイナンバー(個人番号)が収録されていれば、市役所への「死亡届」を出すだけで機構への届け出は不要です。ただし、未支給年金を受け取る手続きは必要です。

1. 「年金受給権者死亡届(報告書)」の提出について

「年金受給権者死亡届(報告書)」は、亡くなられた方に年金の支給を停止するための手続きです。

  • 提出が原則不要な場合:日本年金機構にマイナンバー(個人番号)が収録されている方は、市区町村に死亡届が提出されると、その情報が年金機構と連携されるため、「年金受給権者死亡届(報告書)」の提出は原則として省略できます。
  • 提出が必要な場合:
    1. 日本年金機構にマイナンバーが未収録の方。
    2. 国外に住んでいる方が亡くなられた場合。
    3. 住民票の情報がすぐに連携されないなど、例外的なケース。
    4. 共済組合など、日本年金機構以外の機関から年金を受けていた場合。

2. 未支給年金・遺族年金の手続きは別途必須

「死亡届」の提出省略は、あくまで年金の支給を止める手続き(死亡届)にのみ適用されます。

亡くなられた方がまだ受け取っていなかった年金(未支給年金)や、ご遺族が受け取れる可能性のある遺族年金の請求手続きは、別途行う必要があります。

特に重要な手続き:未支給年金の請求

年金は、原則として亡くなられた月の分まで支給されます。まだ支払われていない年金(未支給年金)は、故人と生計を同じくしていた遺族が請求することで受け取れます。

この「未支給年金の請求」をする際に、通常、「年金受給権者死亡届」が請求書と一体となった様式を用いるため、結果的に年金事務所等で手続きを行う必要があります。

まとめ
種類目的マイナンバー収録済の場合の提出要否
年金受給権者死亡届年金の支給を停止する原則として不要
未支給年金・遺族年金請求ご遺族が年金を受け取る別途、請求手続きが必要

亡くなられた日から手続きの期限(国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内)が設けられていますので、速やかに年金事務所や街角の年金相談センターにご相談ください。

マイナポータルでの手続き方法

現状(2025年11月現在)では、マイナポータルで可能な手続きは「電子申請」に対応しているものに限られます。現在、年金機構の手続きでマイナポータルから可能なのは、「年金に関する各種通知書の再交付申請」「公的年金等の源泉徴収票の再交付申請」など一部の手続きです。

マイナポータルで年金手続きを行う手順(スマートフォン)

アップデートにより変更になることがあります。機種等により違う手順になることがあります。(2025年11月)

ステップ 1:準備

  1. マイナンバーカード:利用者証明用電子証明書(暗証番号4桁)と署名用電子証明書(暗証番号6~16桁)のパスワードが必要です。
  2. スマートフォン:マイナンバーカードの読み取りに対応した機種が必要です(NFC機能)。
  3. マイナポータルアプリ:事前にApp StoreまたはGoogle Playからダウンロードし、インストールしておきます。

ステップ 2:マイナポータルにログイン

  1. マイナポータルアプリを起動します。
  2. 画面の案内に従ってログインを選択します。
  3. 「マイナンバーカードでログイン」を選択します。
  4. スマートフォンにマイナンバーカードをセットし、利用者証明用電子証明書(4桁の暗証番号)を入力して読み取りを完了させます。

ステップ 3:手続きの検索と選択

  1. マイナポータルのトップ画面で「手続の検索・電子申請」を選択します。
  2. 検索窓に「年金」や「源泉徴収票の再交付」など、行いたい手続きに関連するキーワードを入力して検索します。
  3. 検索結果から、「日本年金機構」が提供している該当の手続き(例: 「ねんきん定期便・年金証書再交付申請」など)を選択します。

ステップ 4:電子申請の開始

  1. 選択した手続きのページで、内容を確認し「申請する」ボタンなどを選択します。
  2. 案内に従って、申請者の情報(氏名、住所、年金手帳の基礎年金番号など)を確認・入力します。多くの場合、マイナポータルに登録されている情報が自動入力されます。
  3. 申請に必要な項目(例: 再交付を希望する書類の種類、理由など)を入力します。

ステップ 5:署名と送信

  1. 入力内容を確認する画面に進みます。
  2. 誤りがないことを確認したら、「署名」(電子署名)を求められます。
  3. スマートフォンにマイナンバーカードをセットし、署名用電子証明書(6~16桁の暗証番号)を入力して読み取りを完了させます。
  4. 署名が完了したら、「送信」ボタンを押して申請を完了させます。

ステップ 6:申請状況の確認

  1. 申請完了後、マイナポータルの「申請状況の確認」メニューから、申請が年金機構に到達し、現在どのような状態にあるかを確認できます。

注意点

  • 全ての年金手続きができるわけではありません。 「年金受給権者死亡届」や「加給年金額の対象者の異動」など、複雑な添付書類や対面での確認が必要な手続きは、原則として電子申請に対応しておらず、郵送または窓口での手続きが必要です。
  • 電子申請対応の手続きは、日本年金機構の公式情報やマイナポータルで常に更新されていますので、必ず最新の情報をご確認ください。