レジで店員さんと交わす言葉は少ない。「WAONで」あるいは「Suicaで」と決済手段を告げ、「レジ袋はいりません」と添える。この最小限の接触において、間違いなど起こらないと思っているのだが、現実はそうでもない。
最近、私は「WAONで」と告げたにもかかわらず、クレジットカード払いにされるという経験を、短い期間に二度も味わった。私が使っているカードには複数の決済機能が入っているため、店員さんが混同してしまうのも無理はないのかもしれない。
不本意な決済をされたときは、それを指摘してやり直させることもできる。しかし、忙しそうに働く店員さんの手を止めさせ、後ろに並んでいる人の迷惑を顧みず、イレギュラーな訂正処理を強いるのは、私には少々難しい判断だ。結局、私は何も言わずにその結果を受け入れたのだが、店を出た後もしばらくの間、釈然としない不満が残った。
人の言葉と人の耳。そこには常に、聞き間違いや思い込みというノイズが介在する。これを防ごうと思えば、いちいち「WAONですよ、間違いないですね」などと念を押さねばならないが、それではあまりに場違いで偏屈な人間になってしまう。それは私の本意ではない。
人間である以上、百回に数回はミスが出るのは避けられないことだと、昔何かの研修で教わったことがある。そう達観し、日常のノイズとして受け流すのが、平穏に過ごすための知恵なのだろう。その処理を受け入れたからには不満も直ちに水に流す。次はそうしよう、と思っている。
時々青空がみえる良い天気だと思うと、小雨が降ってくる、落ち着かない天気だった。
