読書記録 元禄御畳奉行の日記ー尾張藩士の見た浮世 神坂次郎著 中公新書 1984年9月25日初版
最近「幕末単身赴任下級武士の食日記」という本を読んで、そう言えば元禄御畳奉行があったなと探したのですが見つからないので迷った末に再度購入しました。ブックオフに持っていってものに紛れたかもしれないと思っています。
タイトルで内容が分かりますが、元禄時代に尾張藩畳奉行を勤めた武士の日記です。ただし、畳奉行としての職務上の日記ではなく、元禄時代に生きた朝日文左衛門という尾張藩士が18歳から44歳までの26年間、日々の出来事を中心に見聞したことも含めて詳細に綴った日記の一部を紹介した本です。
酒好きで酔いつぶれるまで飲む日々がたたって早死したらしいのですが、感心するのはそうした日々の中で長文の日記を書いていたことです。私などは飲んで帰った日は、特別深酒していなくても何か書くようなことはできませんでした。二日酔いの最中にも書けませんでした。まして、酒席で食べた料理の数々を覚えておいて後日列記するなど思いもよりません。
芝居を始めとする遊び好き、生類憐れみの令のさなかに禁令の魚釣りを楽しむ反骨精神、奉行としての公務出張では業者による接待尽くし、父母に注意を受け本人もたびたび反省するけれどもやめられない酒、悋気する女房。苦労もあったろうけれど人生をひたすら楽しんだ男の一生です。
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