読書記録 神も仏も大好きな日本人 島田裕巳著 ちくま新書 2011年12月10日発行
タイトルに惹かれて買いました。私もこの本のタイトル同様に神も仏も大好きなのです。
大好きと言っても、私の場合だと、神様については神社の境内が好きという意味です。仏様については仏像が好きという意味です。
鬱蒼とした森に囲まれた神社の拝殿の前に立つと心が洗われるような気がします。一般的に神社の境内は出入り自由で、よそ者が立ち寄っても咎められることがないのもよいです。むしろ、地元の方からご苦労さまですとかありがとうございますと声を掛けてもらうことも多いです。
一方、仏像は本堂のなかに入らないと拝することができないので、残念ながら機会が少ないです。
さて、だいぶ前のことですが、岩手県浄法寺町の天台寺に立ち寄ったときに、多くの壊された仏像を見て廃仏運動の激しさに驚きました。日本人が仏様をぶち壊したなんて、私には信じがたいことですが、実際に起こった事件です。
この本では奈良の興福寺その他のお寺を事例に、明治初期の神仏分離がどのようなものであったか紹介しています。
そして、なぜ激しい神仏分離が行われたかを解説しています。
江戸時代までは神仏習合が自然に行われて神と仏は同じ境内、ときには同じ社殿に共存していました。伊勢神宮でさえその例外ではなかったのだそうです。その姿を間違っていると考えていた国学者や神道家が、政権を握ったことを奇貨として、仏を叩き出すことに全力を傾けました。その運動は一時期全国に猛威をふるい、例えば鹿児島では藩主の菩提寺を含め県内から寺院が一掃されたのだそうです。
しばらくしてやりすぎは軌道修正されましたが、神社とお寺の関係は大きく変わったままもとに戻ることはありませんでした。
それでも多くの日本人は、お寺を見限ることはなく、分離したお寺と神社を両方ともに祈りの対象にするようになったのです。
日本人の宗教意識についてもふれています。宗教はなんですかと聞かれれば無宗教ですと答える人が多いことについてです。実は、無宗教ではなく、神と仏の両方を信仰しているのに、信仰対象が複数だと無定見だと感じるので、無宗教だと思ってしまうのだそうです。
宗教を聞かれる機会などめったにないと思いますが、そういう問いがあれば、私は仏教徒であり神道家だと答えたいと思っています。実のところは、森羅万象あらゆるものに神がやどるという神道の方がしっくりくるのですが、仏壇をもっているので仏教を捨てるわけにはいきません。なので両方ということになるのです。
今朝テレビを見ていたら、モバイルバッテリーで使える着る毛布というのを紹介していました。モバイルバッテリーのリチウムイオン電池は突然発火することがあると聞いて、怖いものだと思っていたのですが、スマホやタブレットなど身近なものにたくさん使われているし、さらにこういうのが増えているのをみると、そんなに怖がる必要はないのかな、と思ってしまいますね。
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