2024年12月20日

日記

拙者、御役目を辞し候のち、衣装に心を砕くこと少なくなり申した。
とは申し候えども、現役の頃において殊更に気を遣いしかと問わるれば、
決してそのようなこともなかりき。

若き折より、装いというもの苦手にて、
煩わしく存じ、無難なる紺にて揃え、
数着を洗濯屋に任せ、順繰りに着用仕り候。
ネクタイも赤系統のものを日々取り替えしのみ。
色味は微妙に異なれど、他人の目には毎日同じ装いと映りしこと疑いなし。

隠居の身となりし今は、外へ出る折も家に居る折も
装いに大差ござらぬ。
スーツを着ること失せ、普段着と晴れ着の境目も曖昧となり申した。
しかも持ち合わせの衣類と申すも、大方似たり寄ったりにて候。

いずれにせよ、きちんと見せようとの思いの薄れるは、
脳の働きの衰えによるものと、どこぞで聞き及び申した。
また、常に同じ服を纏えば、呆けを疑われるとも申す。

さても、困りたることでござる。


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