拙者の書きつける日記は、我が身の体調に関わること多く候。あれが悪い、これが痛むと連ね申せば、さぞや病多き老いぼれと思われるやもしれませぬが、日々の暮らしには何の支障もなく、普通の年寄りでござる。
さて、思えば七十の声を聞いた頃にござる。ある朝目覚めし折、手の指にこわばりを覚え申した。
指を開き閉じすればほどなく治るものの、また次の朝には同じくこわばり、次第に気にかかるようになり申した。
もしやリウマチなどの病にあらずやと案じ、医者に診せることも脳裏をよぎり申したが、日中は忘れてしまうほどで、いざ足を運ぶのも億劫にござった。
あるときふと手袋をはいて寝てみようと思い立ち、試したところ、翌朝にはだいぶ楽にござった。もっとも、手袋をして寝る姿はあまりに年寄じみており、幾日かでやめ申したが、冷えが悪さをしておると悟れたのは大きな収穫にござった。
温めを心掛けてからは、指のこわばりもひとまず小康を保ち申しておる。
