土屋賢二なる御仁について、ちょっと書きたく存じまする。
かの御仁は、昭和十九年の御生まれ、哲学を専らとし、お茶の水女子大学にて教鞭を執られておったとか。
長らく「週刊文春」なる読み物に、筆を揮っておられ、その随筆は後に文庫となり、今や二十数冊にも達するとのこと。
哲学者にして大学教授──さぞや堅苦しき人物かと思いきや、これがまことに意外や意外。
物忘れに転倒、妻君に叱られ、教え子に見限られつつも、日々の失敗を赤裸々に語り、
森羅万象に屁理屈をこね、些細なる出来事から想像の翼を広げて、思いも寄らぬ方向へと話を展ばしてまいられる。
書き記されし内容のうち、どこまで真実に候や、定かならぬも──
一口に申せば、実に面白き随筆にて、拙者も十冊ほど手元に置いておりまする。
近年は、先生も高齢者の域に入られ、その筆致にも年齢相応の気配が漂い申す。
その内容が、同じく高齢の身となった拙者にも、胸に迫るもの多く、身につまされる思いがいたしまする。
それにしても、拙者より年長の方が、なおも週ごとに筆を執り続けておられること──
その心意気、まことありがたく、励みにもなり申す。
さて、今朝がたは一寸ほどの新雪が積もり申した。
午前のうちはちらちらと雪も舞っておりましたが、午後になりて静まりました。
本日は殊の外寒うございましたが、明日よりは天気回復し、来週には気温も十度に達する日があるとのことでござる。