日々の食事は、妻殿が整えてくれるゆえ、拙者は口を開けて待つばかりの身なれど、
たまさか一人になる折は、己が手ずから飯の支度を致し申す。
若かりし頃は、野菜炒めに味噌汁――これが定番にて、飽きもせず口に運んでおり申した。
されど近頃は、ボンカレーなるもの、袋に封ぜられたラーメン、牛丼の湯煎でできる品など、
備え置きしておるものを、時と場合に応じて拝借仕る。
その中の袋ラーメンと申すもの、これが五十の坂を越えた頃より、どうにも苦手となり申した。
袋物のみならず、器に入った即席麺、さらには町の食堂で出される拉麺までも――
一言で申せば、味が濃すぎるのでござる。
「あっさり」と謳う品もまた、拙者の舌にはやはり濃い。
ある日ふと思うに、麺そのものが悪いのではなく、
どうやら「スープ」なるものが体に合わぬのではないか――と、
試みに、袋入りのスープの素を使わず、
代わりに醤油やみりんで自ら調味してみたところ、
これが存外にいけた。胃にもやさしく、すんなりと腹に収まる。
かつてはインスタントも外食も、ラーメンと聞けば目を輝かせていた拙者なれど、
齢を重ね、胃袋もまた弱くなりもうしたようにござる。
本日もまた、良き日和。風も穏やかに、陽は高し。
斯様なる一日、何事もなく過ごせたこと、ありがたきことにござる。
2025年3月10日ーこのページー2025年3月12日