近ごろは、朝起きてすぐに「花粉飛散情報」とやらを、ネットにて確認いたすのが日課となり申した。現役の折には、たとえ花粉が多かろうと少なかろうと、出立せねばならぬ用向きが決まっておったゆえ、かような情報は無用の長物と心得ておった。
されど今は隠居の身、外出を控える日も自らの裁量で選べるゆえ、飛散の多い日はなるたけ屋内にて静かに過ごすよう心がけておる。これがまた、効果のほども侮れぬもので、確かに違いがあるように感じ申す。
花粉症は、雨の降る日は幾分か楽になる。空に浮かぶ花粉が雨に打たれて落ちるからであろうと、長らくそう思うておった。そして、地に落ちたそれらの花粉は、下水を伝い、川や海へと流れていくのだろう――と、勝手に納得しておった。
ところが最近になり、「雨の翌日こそ花粉が倍に舞い上がる」と聞かされ、にわかには信じがたく思うたが、よくよく考えてみれば、確かに雨の翌朝などは、妙に目や鼻の具合が悪いような気もいたす。どうやら、地に落ちた花粉が乾いて再び風に舞い上がり、空に浮かぶ新たな花粉と合わさって、倍の量が飛ぶらしい。
雨に流れるはずの花粉が、なぜそこまで粘り強く残るのか。まことに厄介な相手でござる。
さて、本日は寒き朝となり申したが、雪は降らず。西の方――遠地では雪の知らせもあるとのこと。この時期は、まことに天も地も落ち着かぬものでござる。
2025年3月18日ーこのページー2025年3月20日