ふと昔読んだ書物を思い出し候。著者は宮部みゆき殿、新潮文庫にて発行された『あかんべえ』と申す書物、かの頃は一気呵成に読み切った覚えあり。
拙者、宮部殿の筆は幾つか味わい申したが、いずれも人を惹きつける妙ありて、つい時を忘れ候。
この書物の筋立ては――料理屋の娘、店内にて幽霊を目にするも、ほかに見える者なし。さらに、かの幽霊らと言葉を交わせるは、その娘ただ一人のみ。娘は幽霊の語る悩みを聞き、その解決のため奔走するのである。怪談ではあるものの温みのある物語にて候。
なぜ今さら此の書を思い出したかと申せば――本日、異国のコメディドラマ『ゴースト~ボタン・ハウスの幽霊たち』を見たゆえ。これまた古き屋敷を舞台に、屋敷に住みつく幽霊どもが右往左往するお話にて、「そう言えば、宮部殿の時代物に面白き幽霊譚があったな」と、記憶が呼び起こされた次第。
さらに申せば――今は亡き西田敏行殿の妙演光った『ステキな金縛り』という映画も思い出され候。
落武者の幽霊、誰にも見つけてもらえず、宿場の泊まり客の布団に覆いかぶさり、金縛りにして遊ぶ。そこへ偶然、幽霊を見通すこと叶う者が現れ、この世に残した未練を解き放つ手助けをする――かような趣向なり。
さて、拙者もまずまずの長さを生きて参ったが、未だ幽霊なるものをこの目にしたことはなし。見たと申す者も世にはあるゆえ、この先、出会うこともあるやもしれぬ。されど、もしも遭遇つかまつれば、きっと肝を潰し、まともな言葉も出ぬであろう。こうした物語は、腹の据わった主人公あってこそ成り立つものと、つくづく思い入り候。
今日の天気は晴れ、二度ほどスマホに大雨の警報がくるも、本物は来たらず。気温は30度に達し、加えて蒸し暑い一日でござった。
2025年8月11日ーこのページー2025年8月13日