日記

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2024年11月11日

「日本の国宝、最初はこんな色だった」(小林泰三 著・光文社新書)なる書を読了いたした。まことに目を開かれる思いにて、感銘深くページを繰り進め申した。わしが長らく抱いておった仏像の印象と申せば、いかにも時を経た、落ち着いた佇まい。色味も淡くく...
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2024年11月10日

近ごろ「古代日本の官僚――天皇に仕えた怠惰な面々」(虎尾達哉 著・中公新書)なる書を拝読いたした。律令制度なるものの実態に迫る一冊にて、実に含蓄深きものであった。律令制度とは、天皇を頂点となし、貴族たちが法にもとづき政を司る体制にて、上は政...
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2024年11月9日

拙者、幸いなることに、湯の湧き出でる土地に住まうており申す。此方では、湯屋の値も三百文ほどと安うござり、週に一度は湯に浸かるが、長年の習い性となっておる次第にて候。湯に浸かれば疲れも取れ、身心ともに軽うなる。疲れたときこそ、湯に限る――斯様...
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2024年11月8日

拙者、このたび『忘れられた日本人』なる書を読ませていただき申した。宮本常一という御仁の筆によるものにて、ワイド版岩波文庫にて手に取り候。元より拙者、昔語りを致したい心持ちは常にあるものの、若者らにはうるさく思われようかと気遣い、口を慎んでお...
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2024年11月7日

昨今、まことに厄介なことながら、「迷惑なる文(ふみ)」がしきりに届き申す。とは申し条、常にというわけでもなく、波の如く、ある時はぴたりと止み、またある時は日々連なりて舞い込んで参る。書面の題名(タイトル)を一目見れば、大方それと見抜くことが...
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2024年11月6日

若き折は、身も軽く、痩せたる体つきにて候。されど、世に出て働くようになりし頃より、運動もせず、飯は多く食らい、酒もよく飲み申したゆえ、次第に腹が出て参り申した。「こりゃいかんな」と思い至りしは、四十歳の頃にて候。これを機に、身体を鍛えんと決...
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2024年11月5日

拙者、このたび「神も仏も大好きな日本人」と申す書物を読了仕り候。島田裕巳どのの筆によるもので、ちくま新書より出でたる由。その題名に惹かれ、つい手に取った次第にて、なにぶん拙者も題のとおり、神仏ともにこよなく敬う者ゆえ、まことに興味深く拝読い...
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2024年11月4日

先般、『元禄御畳奉行の日記――尾張藩士の見た浮世』なる書を読み申した。神坂次郎どのの筆によるもので、中公新書より出でたる書にござる。少し前に、『幕末単身赴任下級武士の食日記』という、これまた風変わりにして興味深き書を読んだ折、「あれ、『元禄...
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2024年11月3日

若き折、我が勤め先にて「算盤替りの箱」、すなわち近頃申すところのコンピュータなるものが導入され申した。されど、社内にその道に通じた者もおらず、何事も業者へ任せきりという体たらくにござった。拙者も一応その係を仰せつかりはいたしたが、なにぶん符...