日記

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2025年5月22日 木曜日

近ごろ、熊が人里へ現れたとの報せ、例年にも増して多く耳にいたす。今年は殊のほか出没が目立つとか。我が屋敷の周りは、いわゆる町屋が立ち並ぶ地にて、熊など来るまいと思うておったが――なんと、隣町では、その住宅街の中を熊が悠々と歩いておったとのこ...
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2025年5月21日 水曜日 小満

拙者(せっしゃ)もこの齢となりては、いずこかへ出向いたとて、土産物のたぐいを買い求めることも少のうなり申した。というのも、親父殿が亡くなりし折、遺品をあれこれと始末いたした折に思い知ったことでござるが――いかに本人にとっては思い出深き品なり...
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2025年5月20日 火曜日

橋幸夫殿という御仁――唄の道にて名を馳せたお方にて候――そのお方が、このたび「物忘れの病」、世にてはアルツハイマーと申す類の症に罹りしことを、みずから明かされたとの由。されども、なお唄の道を続けられるとのこと――まこと、気丈なお方にて候。こ...
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2025年5月19日 月曜日

さてさて、年も巡りて、またもや「大人の休日倶楽部」とやらの切符が売り出される頃合いとなった。聞けば、東国の駄賃業――「JR東日本」と申すもの――その着想にて、新幹線なる早駆けの乗り物も含め、五日間、乗り放題にて一万八千文ほどとか。まこと破格...
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2025年5月18日 日曜日

この齢となれば、目のほうもそれなりに草臥れてまいりましてな。日々、遠目にてはなんら不自由はござらぬゆえ、絵草紙(えぞうし)――いまの「テレビ」とやら――を眺めたり、茶を淹れたり、普段の暮らしに難はござらぬ。されど、近ごろは細かき文字がどうに...
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2025年5月17日 土曜日

近ごろ読んだ時代小説のなかに、なかなか面白きものがござってな――「物書同心 居眠り紋蔵」と申すシリーズにて、筆を執ったは佐藤雅美(さとう・まさよし)殿。なんでも、直木賞を受けた腕利きの作家とか。この紋蔵どの、南町奉行所の「例繰方(れいくりか...
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2025年5月16日 金曜日

花粉とやらに悩まされる季節も、ようやく峠を越えたかと存じ、先月いっぱいをもって、医師殿より賜った薬も使い切り申した。これにて終いと思うておったが、まだいくぶん、症状があるようでのう。とは申せ、目が少々しぶく感じること、そして日中に一度か二度...
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2025年5月15日 木曜日

あれは、ついこの間のことと申しても、世が騒がしゅうなった疫病――「コロナ」とやらが広まった折の話にござる。その折には、「不要不急の外出は控えよ」と、まことにものものしきお触れが世に出され、町も人もすっかり息をひそめるようであった。かくなる状...
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2025年5月14日 水曜日

日毎に陽気も緩み、春めいてまいりましたが、朝晩の冷え込みはなかなかどうして、未だ肌を刺すごとき寒さが残っておりましてな。されど本日――ついに一日を通して、火鉢も焚かず、火の気なしで過ごした初めての日となりました。拙者ひとりのことを申せば、も...