遺言書とは
法律の配分方法や相続人の協議にまかせるのでなく、自分の思った通りに財産を分配したい人が、財産の分割について書き残した書類が遺言書です。
特に、次のような場合に遺言書を作ります。
1.認知をしていない子がいる場合(生前にできることですが遺言でもできます)
2.親不孝な子に遺産を相続させたくない場合(同上)
3.特定の人に、遺産の全部、または大部分を相続させたい場合
財産が多いから遺言する、少ないから遺言しない、というものではないのです。
遺言書があると、遺言書で指示されたことが、法定相続分よりも優先されます。
相続手続きを進めてしまってから有効な遺言書が見つかると、大変困ったことになります。
遺言書を探す
相続人は、必ず遺言書を探さなければなりません。
「遺言なんてあるはずがない」という思い込みはいけません。
親が考えていることは知っているようで知らないものです。まして、疎遠であればなおさらです。あるはずがない、ではなく、あると思って探した方がよいでしょう。
机、タンス、仏壇など、ありそうなところをしらみつぶしに探しましょう。
自宅で見つからないときは、後述するように、法務局や公証役場の方も確認しましょう。
遺言書が見つかったら
遺言書を見つけてもすぐに開封してはいけません。家で見つかった遺言書は、家庭裁判所に持って行って検認を受けなければならない場合があるからです。
検認が必要なのは、法務局以外の場所、例えば自宅などに保管されていた自筆証書遺言と秘密証書遺言です。
検認とは「遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続」です。
検認が必要な遺言書は、検認が終わるまでは遺産を分けることができません。
公正証書遺言をさがす
公証人役場で作ってもらった遺言書を公正証書遺言といいます。公正証書遺言の原本は公証人役場に保管されるので自宅で見つかることはありません。自宅で見つかる可能性があるのは写しである正本か謄本です。
公正証書遺言は、所有権移転登記などの場面で正本を提示することで遺言の内容を実行することができます。正本がないときは公証人役場に請求すると交付してくれます。
公正証書遺言があることは、通常は誰かに知らされているものですが、誰も教えてもらっていない場合もあります。遺言書が見つからない場合は、念の為に最寄りの公証人役場に行って手続きしましょう。故人の除籍謄本、本人の戸籍謄本、本人確認書類が必要です。公証人役場で「遺言検索システム」により、遺言の存在を確認することができます。
探す手間を惜しんで、安直に遺言書は無いと判断してしまうと、後で見つかったときに大変なことになることがあります。是非確認しましょう。
法務局に保管されていることがある
法務局に保管の手続きをとった自筆証書遺言は、原本が法務局に保管されているので自宅にはありません。家で見つかるのは、法務局が発行した保管証です。
法務局に保管してあれば検認の必要がありませんが、保管証だけでは所有権移転等の手続きができません。保管証を見つけた相続人等は法務局で遺言の内容を確認し、遺言書情報証明書を入手しなければなりません。
保管証が見つからなく、遺言があるかどうかはっきりしない場合でも、念の為に最寄りの法務局で確認しましょう。法務局には「自筆証書遺言書保管制度」という仕組みがあり、全国の法務局に故人の遺言書が保管されているかどうかを一度に照会できる手続きが用意されています。
一般的に相続人が請求する場合、以下の書類が必要になります。遺言書保管制度に関する手続きは予約制なので、最寄りの法務局に電話またはWEBで予約を入れることから始めてください。
- 交付請求書(法務局の窓口やホームページにあります)
- 遺言者の死亡が確認できる書類(除籍謄本など)
- 請求人が相続人であることが確認できる書類(戸籍謄本など)
- 請求人の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証などの顔写真付きのもの)
- 手数料: 1通につき 800円(収入印紙で納付)
遺留分について
遺言があれば原則として遺言に従って相続しなければなりませんが、それぞれの相続人は遺留分という権利があります。遺留分とは、相続財産のうち、相続人のために最低限残しておかなければならない一定の割合のことです。遺留分が侵害されたときは、遺留分侵害額請求をすることができます。

