相続の第五段階 所有権移転や名義変更

相続

登記や名義変更をする

遺産が誰に渡るかが確定したら、不動産は所有権移転の登記をしなければなりません。預金は解約して払い出しをしなければなりません。自動車などは名義変更が必要です。

遺言書がある場合

遺言書がある場合には、不動産を相続した人が、他の相続人の協力を得ること無く相続登記をすることが可能です。

遺言書が無く法定相続人が1人の場合

遺言書が無く、法定相続人が1人の場合には、その唯一の相続人が全ての遺産を相続します。遺産分割協議も必要ありません。

なお、法定相続人が1人であっても、遺言書により相続人以外の第三者への遺贈がされている場合には、遺贈を受けた人の名義に変更することになります。

遺言書が無く法定相続人が複数の場合

遺言書が無く、法定相続人が複数いる場合には、遺産分割協議により決定する方法と、法定相続分で共有名義で登記する方法があります。

遺産分割協議による場合

遺産分割協議によって合意すれば、相続人の間でどのように配分することもできます。

遺産分割協議による相続登記は、遺産分割協議書によって行います。

法定相続による場合

法定相続人全員の共有名義で、それぞれの持ち分を登記をすることができます。

たとえば、被相続人の妻と、子ども2人が法定相続人である場合には、妻が2分の1、子ども2人がそれぞれ4分の1ずつです。この持ち分で3人の共有名義で登記することができます。

共有名義は、後に不動産を売却したり、次の相続が発生したときは、共有者全員の合意により手続きをする必要があるので、後々が大変です。

不動産の所有権移転登記

法務局に手続きする

不動産の所有権移転登記は土地・建物を管轄する法務局に手続きをします。一般的には司法書士に依頼しますが、自分でやることもできます。

必要書類
1.登記申請書

2.必要な書類

① 被相続人(死亡した方)の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本等のほか、相続人となる人全員の戸籍謄本
② 相続人全員の相続人全員の印鑑登録証明書
③ 司法書士への委任状

3.費用

① 登録免許税
② 司法書士への手数料

遺産分割協議書によるときは、上記の書類の他に、遺産分割協議書を添付します。また、申請人以外の他の相続人の印鑑証明書が必要です。

遺言書によるときは、検認済み遺言書(または公正証書遺言)、被相続人の死亡のある戸籍謄本(または除籍謄本)、被相続人の除票(または戸籍の附票)、相続人の戸籍謄本、住民票(または戸籍の附票)、固定資産評価証明書(相続登記を出す年度のもの)受遺者の印鑑証明書が必要です。

相続手続ではたくさんの戸除籍謄本等が必要になります。法務局で法定相続情報一覧図を申請して入手すれば便利です。

登記の義務化

令和6年4月1日から相続登記の申請が「義務」になりました。相続や遺贈によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日(遺産分割協議が成立した日など)から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

正当な理由(相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の資料収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケースなど。)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料の適用対象になります。

銀行預金等の解約

預金等は、たとえ少額であっても、通帳と印鑑だけでは払い出しできません。銀行ごとに指定の書類を整えて手続きする必要があります。結構大変です。特に、相続人のうちの一人でも、非協力的であったり連絡が取れない人がいれば、さらに大変です。

電気料金等の口座振替やクレジットカードの支払いは、銀行口座が凍結されると引き落としができないので滞納になってしまいます。

預金解約に時間がかかるようであれば、必要に応じて各支払先へ連絡して対応を協議する必要があります。特に、引き続き住んでいる人がいる場合は、電気やガスなどが止められないように手続きをいそがなければなりません。

以下で一般的な預金解約手続きを説明しますが、細部は金融機関によって異なります。問い合わせながら手続きしましょう。

必要書類
1.相続依頼書(銀行により名称が異なります)

2.必要な書類

① 被相続人(死亡した方)の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本等のほか、相続人となる人全員の戸籍謄本
② 相続人全員の住民票の写し
③ 代理人が手続きするときは委任状

遺産分割協議書によるときは、法定相続分のとおりに相続した場合の書類の他に、遺産分割協議書を添付します。また、申請人以外の他の相続人の印鑑証明書が必要です。

遺言書によるときは、検認済み遺言書(または公正証書遺言)、被相続人の死亡のある戸籍謄本(または除籍謄本)、被相続人の除票(または戸籍の附票)、相続する人の戸籍謄本、住民票(または戸籍の附票)、受遺者の印鑑証明書が必要です。

電話の解約

亡くなった人の名義になっている固定電話や携帯電話を、解約または名義変更をしなければなりません。通常は購入した販売店に出向いて手続きします。

自動車の名義変更

動く状態の車であれば、一時的に名義変更をしないでそのまま使用することも珍しくありません。

しかし、保険が亡くなった人の名義であれば、万が一でも事故を起こしてしまうと厄介なことになります。

一般的には、廃車する場合や、他人に譲り渡す際には必ず名義変更をするものです。同様に、相続で手に入れた車は、使い続けるにせよ廃車するにせよ、必ず名義変更をしてから運転するようにしましょう。

販売店に相談すれば有料ですがやってくれることがあります。またこの分野の専門家は行政書士です。自分で陸運事務所に行ってやることもできます。


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