遺留分を侵害された者は、遺贈や贈与を受けた者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の請求をすることができます。
遺留分侵害請求に応えようとしても、「金銭」という部分で思わぬトラブルが発生する可能性があります。
金銭を用意できない場合です。
相続した財産が、現金預金やすぐに換金できる有価証券が多ければ、遺留分侵害請求をされても対応できますが、相続財産が住居や山林などの不動産が主体であれば厄介なことになる可能性があります。
例えば、2人の子がいて、1人は家を離れてそれぞれそれなりの生活を営んでいるが、1人は家にいてアルバイト生活をしているとします。
こういうとき、まだ完全に自立していない子の将来を心配して、その子に「財産の全部を相続させる」という遺言を残したとします。
遺産は家屋敷が3500万円で預金が500万円とします。
もう一人が納得すればよいのですが、納得できずに遺留分侵害請求をしたとします。妻がすでにいないと仮定すると上記の遺留分は4000万円の4分の1ですから1000万円になります。
預金全部を渡しても足りません。家を売らなければならなくなります。すぐに売れればよいのですが、簡単に買い手が見つかるとは限りません。
要は、遺留分侵害請求をされたときはキャッシュをもっていないと大変厄介なことになるということです。
遺留分を考慮しないで遺言を残すとこういう問題が起こる可能性があります。遺留分に限らず問題を含む遺言を残して相続人を困惑させることがないように、自分の知識だけに頼らず司法書士等の専門家と相談して作成するのが無難です。
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