全員が相続放棄できる
相続放棄は、相続人がそれぞれ単独で決めることができます。
3人子どもがいて、次男と三男が相続放棄したとして、残った長男がやむを得ず引き受けなければならないかというと、そういうことはありません。最後に残った一人でも相続放棄ができます。
次順位の相続人
相続放棄した場合、財産と借金はどこに行くのでしょうか?
まずは、次の順位の相続人が相続することになります。
例えば、父が亡くなって、母は他界しており、相続人である子どもが全員相続放棄した場合は、父の兄弟姉妹、つまり、放棄した人たちのオジオバが相続人になります。
そのオジオバが亡くなっているときは、オジオバの子、つまり、3人の子どもにとってはイトコが相続人になります。
プラスの財産が行けば喜ぶと思いますが、相続放棄するような状態ですから、借金が多いと思います。オジオバ、イトコには迷惑なことです。
自分達が相続放棄に至った事情を説明して、皆さんも相続放棄の手続きをしてくださいとお願いすることが必要です。親族の皆さんにはごお手間をかけすることになりますが、きちんと手続きをしてもらいましょう。
なお、親族のどの人が相続人になるかは、曖昧な知識や記憶でことを運んではいけません。戸籍を調べ、どの範囲の人に連絡をとらなければならないか、しっかりと確認しましょう。
親族も皆放棄したら
遺産がマイナスであれば、相続放棄すれば、相続の問題はほとんどの場合終了します。
しかし、少しでも財産があれば、それが価値のない空き家や山林であっても、話しは違ってきます。
自分の財産を減らしてまで借金を返す必要はなくなりますが、残った財産についての管理責任があるのです。
民法では、「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない(940条)」と定めています。
家庭裁判所が選任する「相続財産清算人」が管理を始めるまでは、相続人が管理しなければならないのです。
放棄した財産の管理
相続財産清算人が選任されるには、債権者や債務者、特別縁故者などの利害関係人などが、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続財産清算人選任の申立て」をする必要があります。
被相続人の債権者が請求してくれればよいですが、債権者も利益にならないことはしません。相続人が請求しなければならないこともあります。
相続財産清算人の選任を請求できるのは、裁判所のホームページによれば、利害関係人(被相続人の債権者,特定遺贈を受けた者,特別縁故者など)となっています。相続人は「など」に含まれるようです。
相続財産清算人が選任されなければ、相続放棄をしたとしてもいつまでも空き家等の管理をしなければならなくなります。維持費を持たなければならないし、場合によっては解体費用を負担しなければなりません。
それでいて、相続放棄をしているので、売れたとしても自分に利益は入りません。
相続財産清算人が選任されれば、維持管理や財産の処分は相続財産清算人が行います。
相続管理の費用負担
ただし、相続財産清算人はタダではありません。維持管理に要した費用も相続人が負担しなければなりません。一般的には、予納金を裁判所に支払う必要が出てきます。
どっちにしてもお金がかかるので、場合によっては、相続放棄しない方が得になる場合もあります。
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