読書記録 現代語訳福翁自伝 福沢諭吉 齋藤孝編訳 ちくま新書 2011年7月10日
若い頃、ある人の家で本棚に並んでいる福沢諭吉全集をみて、一人の人が一生の間にこれだけたくさんの文章を書いたのか、と驚いたことがあります。
ですが特に関心がわいたわけでなく、その後、福沢諭吉の著作を読むことはありませんでしたが、リタイア後のあるとき、青空文庫のリストをみていたとき偶然「福翁自伝」が目に入って読み始めました。口語文なので読めないことはないのですが、ちょっと分かりにくいので、解説付きの本を探してこの本を買いました。
お札になったくらいの偉い人です。それは間違いないのですが、読んでいると調子の良いおじさんという面もあると感じます。特に若い頃のやんちゃ自慢はいただけません。でも、悪いことも悪びれず、自分に都合の悪いこともあからさまに語っています。
福沢諭吉は、多くの維新の英傑と違って戊辰戦争には参加していませんが、海外の事情をよく知る一流の知識人でした。新政府への仕官を求められても応じず、経済界に進むのでもなく、評論と教育で社会に影響力を行使していく生き方を歩みました。
貧困のなかで懸命に勉強し、暗殺に怯える日々もあったようです。苦労人だと思います。
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