本日は「啓蟄(けいちつ)」と申す日とのこと。虫けらどもが土の下より這い出でる折、と申すそうな。なるほど、言われてみれば合点のゆくこともある。去る土曜、空に雪虫のようなものが飛んでおるのを見かけた。昨日は家の中にて、蜘蛛一匹、ひょっこり現れおった。虫が増えるは困りものながら、春の近しきを実感させられた。
草木の類に目を向ければ、雪のそば、塀の脇にて、今年初めてのフキノトウを見つけた。軒下の壁際には、ユキノシタの花芽が、ほんのりと桃色を帯び始めている。
私がまだ小さき頃――火傷をした折には、親がユキノシタの葉を揉み、皮を剥いで患部に貼ってくれたものだ。あのひんやりとした感触、今もかすかに手のひらに残っているような気がいたす。
とは申せ、今うちであるのは「ヒマラヤユキノシタ」と申す種類で、薬効などは期待できぬものと思う。
また思い出すに、私が小学校に上がる頃より、「オロナイン軟膏」なる妙薬が家に常備されるようになり、ユキノシタやドクダミの出番も、めっきり減ったものである。ドクダミも、似たような用途に使われていたのだ。
さて、天気の話に戻れば、予報にて「警報級の大雪」と脅かされておったが、幸いにもそれほどのことはなく、やれやれと胸を撫で下ろした次第。
