このところ、年に一度ばかり、「大人の休日倶楽部パス」なる切符を手にし、小さき旅に出るのが、私のささやかな楽しみとなった。
五日間にわたり、新幹線にも乗り放題という、まこと贅沢な通行手形であった。私の場合、毎日その日のうちに帰る「日帰りの旅」を五度繰り返すという仕儀である。これはこれで、なかなかの行軍であった。
さて、旅の始まりは、まず思案から。今日より「どこへ向かうか」「家は何時に出るか」「目的地には何時に着くか」「食事処はどこが良いか」など、あれこれと旅程を練り始めた。
ふらりと気の向くままに出かけるというのは、あまり性に合わぬ。たとえ日帰りなれど、きっちりと計を立てておきたい性分であった。もちろん、計画どおりに進まぬこともあるが、それでも道筋が定まっておれば、大事には至らぬというのが、これまでの経験則である。
天候は晴れて、まこと気持ちの良き日であった。陽気も穏やかで、気温は十八度にまで上がったとのこと。
