近ごろ読んだ時代小説のなかに、なかなか面白きものがござってな――
「物書同心 居眠り紋蔵」と申すシリーズにて、筆を執ったは佐藤雅美(さとう・まさよし)殿。なんでも、直木賞を受けた腕利きの作家とか。
この紋蔵どの、南町奉行所の「例繰方(れいくりかた)」なる役目にて働いておる。これは、過去の沙汰や裁きの事例を調べ、帳面にまとめるような、いわば記録と調査の御役目にて候。
されどこの御仁、どこであろうと突然まぶたが落ちるという奇妙な持病を抱えており、初めのうちは職場でも持て余されていたようでござる。
なれど、実はなかなかの切れ者にて、人の和を大切にし、上役にも頼りにされておるようじゃ。
家にあっては立派な父親、役目を離れても交友は広く、いざという時には決して居眠りなどせぬ――まこと「超人」と呼ぶに相応しき男にて候。
この物語、十五巻にも及ぶ長き連なりで、かつて拙者もすべて手元に揃えておったはずが……
今にして残っておるのは、たった三巻ばかり。あとの巻は、どうやら「ブックオフ」なる古書屋へ手放してしまったようで。
いやはや、惜しいことを致したと、今になって悔いておる。後悔先に立たず、とはよく申したものじゃ。
さて、本日は陽射しもあり、気温も二十四度まで上がり、これは爽やかな一日となろうかと思うておったが――
午後になって、空模様が崩れ、しとしとと雨が降り出した。まこと、天気とは気まぐれなものにござるな。
2025年5月16日ーこのページー2025年5月18日