昨日、鉄道にて移動した。その折、車中は大いに込み合っておったが、私は、さほどの苦もなくつり革にて体を支えつつ立っておった。むしろ、周りには疲れ切った様子の方々も見え、その方々の方こそ大事にあれと案じておった次第。
やがて、やや大きな駅にて人の入れ替わりがあり、座席がいくつか空いた。その折、空いた席の前に立っておられたご婦人が、この席に座られよ、と私にお声かけくだされたのである。
はじめは自分に向けられた言葉とは思わず、周囲を見渡したが、やはり私に違いなく、面食らうて、「いや、大丈夫である。どうぞあなたが」と思わず申し上げてしまった。
その後、すぐに深く反省した。私は後期高齢者にて、誰の目にも年寄りと映るはず。このような折は、親切を素直に受けて座るのが道理であった。かくのごとく振る舞えば、無用に意地を張る偏屈な老人と映ったに違いなく、せっかくのご親切に水を差したこと、悔やまれてならぬ。
