2025年7月19日 べーかりー

日記

拙者が幼き頃――町に“べーかりー”なる店が開店いたした。売り物は食パンだけであるが、その場で甘きジャムやピーナッツバターなどを塗って売るという趣向の店にて候。

母上が町に出た折には、時折買い求めてくれたものにござる。ある日、拙者が母に連れられて町へ出た折、件の“べーかりー”に立ち寄ったのでござる。なんと、店の前には、長い長い行列ができており、拙者、思わず目を見張った。いわゆる“行列”というものを、まじまじと目にしたのは、これが初めてであったかと存ずる。

その後、博覧会のパビリオンなる建物にての行列、ディズニーなる夢の国での行列など、幾度も長い行列を経験いたしたが、それは、やむを得ぬ事情あってのこと。基本的には、並ぶことを好まぬ性分にござる。

殊に食べ物に関わることにおいては、なおさらにて、いかなる珍味であろうと並んでまで口に入れたいという欲は湧かぬ。列が短くても混雑したる店には足を踏み入れとうない。故に旅の途中にて昼どきと相成れば、誰かと連れ立っておれば別ながら、一人の折には、コンビニにてパンや握り飯などを買い求め、その辺りのベンチに腰を下ろして食べるのが習いとなっておるのでござる。

今日もまた、空晴れ渡り、陽炎がゆらめくような暑さにて候。聞けば、西方では連日のごとく大雨とのこと。誠に、世は思うようにいかぬものにござるな。


2025年7月18日ーこのページー2025年7月20日

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