本日、ある店にて、ちと不要の紙屑を捨てようと屑籠を探したのじゃが、見渡せど見当たらぬ。さてはこの店には置いておらぬかと思いつつ、ちょうど傍らに店の者が居合わせたゆえ、試みに「屑籠はござらぬか」と問いかけてみた。
拙者としては、有るか無いか、いずれかの答えが返るとばかり思うておったが、返ってきたのはなんと「ハッ」という一言のみ。しかも「この爺、何を申しておるのか」という不審を含んだ声音であった。
もう一度言い直してみたが、返事は同じ。さては、この頃拙者の滑舌がさらに悪くなっている故、聞き取りづらかったかと思い、ついに諦めて屑をカバンに収め、後味の悪きままその場を離れたのである。
ところが、しばし歩くうちに思い至った。あの店員殿、聞こえなんだのではなく、「屑籠」という言葉そのものを知らなんだのではあるまいか、と。考えてみれば、屑籠とはいささか古き言葉。今は「ゴミ箱」と申すのが常であろう。普段の拙者も確かにそう言うておるはずなのに、なぜかこの時ばかりは昔の言葉が口をついて出た。不思議なることながら、きっと暑さにぼんやりして、頭の奥に眠る古き言葉がもれ出たのであろう。
本日は雨が少し降ったこともあり、最高気温は27度、夕方には久しぶりに長めの散歩にでかけ申した。
2025年8月28日ーこのページー2025年8月30日