変わり映えしない日々の日記 2024年11月 日記 2025.03.172025.07.02 雪深い地方に住む高齢男性「かつ」の変わり映えしない日々の日記、2024年11月分でござる。 2024年11月30日若いころは、視力というもの、なかなか良い方にござった。されど、三十の坂を越えたあたりより、どうも怪しくなり申した。そして、四十に入ったころには、免許の更新が気がかりになり、ついに眼鏡屋に足を運ぶこととなった次第。検査の際、店の者は「運転には... 2024年11月29日拙者、何年かに一度ばかり、眼が赤くなることがござる。初めてそのようなことが起こったのは、もう何十年も前のことであった。ある朝、右の白目が真っ赤に染まっておった。こりゃ尋常ならざると、鏡をのぞいて肝を潰した。いわゆる充血とは様子が異なり、眼そ... 2024年11月28日書棚より、かつて読みし「フロスト警部」を取り出し、また手に取り候。作者はR・D・ウィングフィールド、訳は芹澤恵殿、東京創元社の名作にてござる。この物語、英吉利(イギリス)の警察を舞台とし、主人公のフロスト警部は、まことに型破り。いや、型など... 2024年11月27日「ピンポン」と鳴るも、いまや「朋あり遠方より来る」などという風雅なことは、まずござらぬ。近隣の顔見知りならいざ知らず、大方は商いか、あるいは宗教に関わるものである。このような折、拙者は一言「買う気はござらぬ(聞く気もなし)」と申せば、大抵は... 2024年11月26日『現代語訳 福翁自伝』を読申した。齋藤孝殿による編訳、ちくま新書の一冊にて候。若き折、ある御仁の家にて本棚を眺めておったところ、福澤諭吉の全集なるものが整然と並んでおるのを見て、「これほど大量の文を、ひとりの人間が生涯に書き上げたとは…」と... 2024年11月25日高血圧と申されしは、拙者が四十の頃でござった。年に一度の健診の結果に、「高血圧 要治療」とあり、さすがに見過ごすわけにもいかず、近所の内科へ足を運び申した。看護師殿にて血圧を測り、その後、医師の申すには「ああ、高いですね」「薬、出しておきま... 2024年11月24日拙者の朝餉は、もっぱらパンにて候。家族らは「米でなければ力が出ぬ」と申して、頑として飯を所望いたすゆえ、拙者ひとり、異なる膳を取っておりまする。パン食というもの、何より手間がかからぬがよき。まずは牛乳をコップに淹れ、食パン一枚をトースターに... 2024年11月23日運転が危のうなってきたという自覚は、さほど持ってはおらなんだ。されど、身近に年老いてなお車を操る者の危うき様子を目にし、「ああはなりたくない」と強く思うたことが、拙者にとっての出発点でござった。七十の歳を迎えた折、まもなく免許を返上するつも... 2024年11月22日若き折には、ほとんど日々酒を口にしておった。務めの上での付き合いが主ではあったが、家に真っ直ぐ帰った日とて、杯を欠かすことはなかった。深酒もたびたびにて、よくぞ身体を壊さずにすんだものと思う。これもひとえに先祖より授かりし体質のおかげと、感... 2024年11月21日火野正平殿、逝かれ申した。――この報せには、拙者、まことに驚き、しばし呆然といたした。まさか、まさかでござった。なんとも残念なことでござる。拙者が正平殿を好ましく思うようになったのは、「こころ旅」と申す自転車旅の番組が始まってからのことにて... 2024年11月20日拙者、七十の年を迎えし折、年賀状をやめ申した。世に言う「年賀状じまい」なる風習もあるようだが、殊更に「これにて終い」と記したものを認めることもせず、ただ静かに筆を擱き、ぷつりと断ち切ったのでござる。もっとも、秋も深まる頃より、人と顔を合わせ... 2024年11月19日現役にて働いておった頃の読書と申せば、ほとんどが職務に関わるものばかりにて候。業務に資する論文、資料、解説書などを、必要に迫られて読んでおったものでござる。そのかたわら、出張の折の車中などでは、浅田次郎殿、内田康夫殿、百田尚樹殿といった方々... 2024年11月18日「吾輩は天皇なり――熊沢天皇事件」と題する書を読み申した。著者は藤巻一保殿、学研新書より出されし一冊にて候。天皇を名乗った人物がいた――そのことは、この書を手に取る以前より、なんとなく承知しておった。巻末の参考文献を眺むれば、拙者が若かりし... 2024年11月17日還暦を越えし頃より、何事をなすにも「今これを始めて、果たしてどれほど続けられるか…」と、ついつい物事を消極的に考えるようになり申した。しばしの間は、本の整理や、長年積もった道具類・がらくたの片付けに明け暮れ、日々の暮らしも「後始末」が中心と... 2024年11月16日先の月より、「ブラウン神父」と申す異国の連続物語を観始め申した。英吉利(イギリス)のBBCなるところがこしらえたる品にて、拙者はこれを「プライムビデオ」とやらで拝見しておる。今は、すでに第八のシリーズの途中まで至り申した。もしこれ、御上の役... 2024年11月15日この頃、手元の小箱――いまどきの者は「スマホ」なるものと申すが――その記録を覗いてみれば、どうやら拙者、毎日一時間ばかり「エックス」なる場を眺めておるらしき。思うより多くの時を費やしておったと、少々驚いた次第。拙者は、著名なる人物を数十人、... 2024年11月14日このたび、「漱石の長襦袢」なる書を拝読仕った。筆の主は半藤末利子殿、文春文庫より出されしものにて候。さて、この御方は、文豪夏目漱石翁の孫娘にあたらるる方にて、漱石翁の長女・筆子女史の第四女とのこと。されば漱石翁の直系の血をひかれし御方なり。... 2024年11月13日近ごろ、同年輩の知己が「どうも記憶が怪しくなってきた」と、ぽつり呟かれた。拙者もまた、「いや、拙者も同じにござる」と応じた。なに、嘘ではありませぬ。実のところ、近年とみに気にかかることにございます。たとえば「これは後ほど調べてみるか」と思っ... 2024年11月12日近ごろ「菅原道真――学者政治家の栄光と没落」(滝川幸司 著・中公新書)なる書を拝読いたした。これまで道真公といえば、学問の神にして、政争に敗れて太宰府に流された人物――おおよそそのような印象を持っておった。されどこの書を通して、道真公の実像... 2024年11月11日「日本の国宝、最初はこんな色だった」(小林泰三 著・光文社新書)なる書を読了いたした。まことに目を開かれる思いにて、感銘深くページを繰り進め申した。わしが長らく抱いておった仏像の印象と申せば、いかにも時を経た、落ち着いた佇まい。色味も淡くく... 2024年11月10日近ごろ「古代日本の官僚――天皇に仕えた怠惰な面々」(虎尾達哉 著・中公新書)なる書を拝読いたした。律令制度なるものの実態に迫る一冊にて、実に含蓄深きものであった。律令制度とは、天皇を頂点となし、貴族たちが法にもとづき政を司る体制にて、上は政... 2024年11月9日拙者、幸いなることに、湯の湧き出でる土地に住まうており申す。此方では、湯屋の値も三百文ほどと安うござり、週に一度は湯に浸かるが、長年の習い性となっておる次第にて候。湯に浸かれば疲れも取れ、身心ともに軽うなる。疲れたときこそ、湯に限る――斯様... 2024年11月8日拙者、このたび『忘れられた日本人』なる書を読ませていただき申した。宮本常一という御仁の筆によるものにて、ワイド版岩波文庫にて手に取り候。元より拙者、昔語りを致したい心持ちは常にあるものの、若者らにはうるさく思われようかと気遣い、口を慎んでお... 2024年11月7日昨今、まことに厄介なことながら、「迷惑なる文(ふみ)」がしきりに届き申す。とは申し条、常にというわけでもなく、波の如く、ある時はぴたりと止み、またある時は日々連なりて舞い込んで参る。書面の題名(タイトル)を一目見れば、大方それと見抜くことが... 2024年11月6日若き折は、身も軽く、痩せたる体つきにて候。されど、世に出て働くようになりし頃より、運動もせず、飯は多く食らい、酒もよく飲み申したゆえ、次第に腹が出て参り申した。「こりゃいかんな」と思い至りしは、四十歳の頃にて候。これを機に、身体を鍛えんと決... 2024年11月5日拙者、このたび「神も仏も大好きな日本人」と申す書物を読了仕り候。島田裕巳どのの筆によるもので、ちくま新書より出でたる由。その題名に惹かれ、つい手に取った次第にて、なにぶん拙者も題のとおり、神仏ともにこよなく敬う者ゆえ、まことに興味深く拝読い... 2024年11月4日先般、『元禄御畳奉行の日記――尾張藩士の見た浮世』なる書を読み申した。神坂次郎どのの筆によるもので、中公新書より出でたる書にござる。少し前に、『幕末単身赴任下級武士の食日記』という、これまた風変わりにして興味深き書を読んだ折、「あれ、『元禄... 2024年11月3日若き折、我が勤め先にて「算盤替りの箱」、すなわち近頃申すところのコンピュータなるものが導入され申した。されど、社内にその道に通じた者もおらず、何事も業者へ任せきりという体たらくにござった。拙者も一応その係を仰せつかりはいたしたが、なにぶん符... 2024年11月2日このほど、水木しげる先生のご著作『古代出雲』を拝読いたし候。角川文庫より、平成二十七年六月二十五日に初版発行と記されておる。水木先生は、山陰のご出身と聞き及ぶが、なるほど出雲の神話にはひとしおの思い入れがあらせられたのであろう。古事記を根に... 2024年11月1日あるネット処にて、やたらと「汝の印章(パスワード)、古し」と申して参る。頻繁に印章を改めよと催促してくるものあるも、つい放っておいてしまう次第にて候。そもそも、近頃は「二段階なる認証」なる仕組みが普及しておる。たとえば別の印章を別途送りつけ... 総目次のページ>変わり映えしない日々の日記>このページ