会社が倒産したらどうすればいいんですか?
後輩(若い会社員): 先輩、ちょっと怖い話なんですけど、うちの会社、倒産しそうだって噂があるんですよ。もし本当に会社が倒産しちゃったら、僕たち社員ってどうなっちゃうんでしょうか? 何かできることってあるんですか?
先輩(大学時代の先輩): うん、それはすごく不安になることだよな。でも、万が一の時でも、君たちが従業員としてやるべきこと、請求できる権利はちゃんとあるんだ。落ち着いて対処すれば大丈夫だから、順番に説明していくな。
まずは失業給付を受給しよう
先輩: 会社が倒産した場合、まずは失業給付を受け取る手続きをすることが大事だ。ハローワークに行って求職の申し込みをすれば、基本手当っていうのをもらえるんだよ。
後輩: 自己都合で辞める時と何か違うんですか?
先輩: 全然違うぞ! 会社の倒産による離職は、「特定受給資格者」っていう扱いになるんだ。だから、自己都合で辞めるよりも、失業給付がもらえるまでの待機期間が短くなったり、もらえる期間が長くなったりするっていう優遇があるんだ。
後輩: それは助かります! 手続きには何が必要ですか?
先輩: 一番重要なのが、会社が発行する離職票だ。会社が倒産してバタバタしてるかもしれないけど、これだけは真っ先に会社に頼んで発行してもらうように働きかけるんだ。もし会社の破産手続きを進めている弁護士がいるなら、その弁護士さんにも協力をお願いするのもいいぞ。
未払いの給料を請求する
後輩: もし給料が未払いのまま倒産しちゃったら、その分は諦めるしかないんでしょうか?
先輩: いや、諦める必要はない。未払いの給料は、君の会社に対する「債権」になるんだ。だから、君も会社のお金を貸している「債権者」の一人になる。
後輩: じゃあ、どうやって請求すればいいんですか?
先輩: 裁判所に君の未払い分の金額を届け出て、破産管財人っていう会社のお金を管理する人からの支払い(配当)を待つことになる。ただ、会社に残っている財産が少ないと、全額は戻ってこないかもしれないし、最悪の場合は全くないってことも珍しくないんだ。
後輩: 優先順位があるってことですか?
先輩: そうだ。会社が破産した時の借金には種類があって、優先順位が高いものから払われるんだ。
まず一番優先されるのが、破産手続きが始まった前の3ヶ月分の給料や退職金だ。これは「財団債権」って言って、他の借金よりも早く払われる可能性がある。
それ以外の給料は「優先的破産債権」になるけど、これも一般的な借金よりは優先される。
君の未払い給料の正確な金額は、会社に計算してもらうのが基本だけど、会社も混乱しているから、君自身も給与明細とか勤怠記録をしっかり確認して、間違いがないかチェックしておくのが大事だぞ。
未払賃金立替払制度を活用する
後輩: 給料が戻ってこなかったらどうしよう…って不安なんですけど。
先輩: そんな時のために、「未払賃金立替払制度」っていう国の制度があるんだ。これは、会社が倒産して給料や退職金が未払いになった場合に、国が一部を立て替えて払ってくれるっていう制度なんだ。
後輩: え、そんな制度があるんですか! それってどこで手続きするんですか?
先輩: 労働基準監督署が窓口になっている。ただ、この制度を利用するためには、会社から未払い賃金の証明をもらう必要があるから、まずは会社にそのことを伝える必要があるな。破産手続き中なら、破産管財人に連絡を取ることになるよ。
解雇予告手当を請求する
後輩: 倒産って、突然「明日から来なくていい」みたいな感じになるって聞きましたけど…。
先輩: そうだね、会社が倒産すると、即時解雇になることが多い。労働基準法では、会社が従業員を解雇する時は、原則として30日以上前に予告するか、それができない場合は30日分以上の平均賃金に相当する「解雇予告手当」を払う義務があるんだ。だから、もし突然解雇されたら、この解雇予告手当を会社に請求できる権利があるから覚えておくといいぞ。
その他の債権も忘れずに
後輩: 他に何か請求できるものってありますか?
先輩: うん、いくつか可能性がある。
もし会社に預けていた社内預金とか、何らかの預け金があるなら、それも君の債権になる。通常、法律で保全される仕組みになっているから、会社(破産管財人など)に手続きをお願いしよう。
あとは、企業年金や退職金が、会社じゃなくて外部の生命保険会社とか信託銀行で運用されてる場合だ。この場合は、会社が倒産しても、運用している会社が倒産しない限り、君の資産は守られているから、所定の手続きをすれば受け取ることができるぞ。
後輩: 倒産って聞くと絶望的かと思ってましたけど、意外とやれることがあるんですね。知っておいてよかったです!
先輩: そうだろ? 不安になる気持ちはよくわかるけど、ちゃんと権利は守られているんだ。もし実際にそういう状況になったら、一人で抱え込まずに、ハローワークや労働基準監督署、弁護士さんとか、専門家にも相談するといい。
後輩: はい! ありがとうございます、先輩!
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