さて、今日は何を書きつけるかと思案いたしたが、拙者の日々はまこと変わり映えもせず、同じ刻限に同じことを繰り返すばかり。ゆえに、また先般読んだ書物のことを記しておこう。
『利休にたずねよ』――山本兼一殿の筆にて、PHP文芸文庫より出でたるものなり。利休と申せば、千利休(せんのりきゅう)。戦国より安土桃山にかけての大茶人にて、織田信長、豊臣秀吉に仕へし人物なり。
利休殿、才能は抜群ながら、融通利かぬ堅物。秀吉公もその才を愛でられしが、利休殿、上手におべっか申すこと能わず、つひには疎まれし候。
これ、世の常にて、上に立つ者ほど「イエスマンは嫌い」と言ひながら、実のところイエスマンを愛でるもの。いまの世であれば、疎まれてもせいぜい閑職に押し込められて済むところ、この時代は命を取られることもありけり。
されど、利休殿は、分かっていても筋が通らぬ謝罪は口にせぬ。誇りがそれを許さぬゆえ、衝突は避けられなかったのであろう。
この書は、利休殿の生き様をひとりの視点で語るにあらず、幾人もの口を借りて語らしめる趣向。短編が連なりて長編となる趣あり、これがまた面白きところにて候。
本日も気温三十度に達したれど、午後には雨になり、思いのほか過ごしやすき一日なりき。
2025年8月16日ーこのページー2025年8月18日