勝手に処分できない
配偶者、子などの法定相続人が一人もいない人が亡くなったとき、遺産はどうなるのでしょうか。
法定相続人がいない人が亡くなったときは、親しい人であっても法定相続人でない人が勝手に財産を処分することはできません。個人的に処分を頼まれていたとしてもできません。遺言がなければ、家庭裁判所への手続きが必要です。
相続財産清算人
家庭裁判所が、利害関係人等の請求を受けて、被相続人の財産を管理したり負債の清算を行う「相続財産清算人」を選任します。
相続財産清算人選任の申立てができるのは、利害関係人または検察官に限られます。
利害関係人とは、被相続人に対する債権者、遺言により遺贈を受けた特定受遺者、被相続人の特別縁故者に当たると考える人などです。
相続人捜索の公告
相続財産清算人が選任されると、まず相続人捜索の公告を行います。
この公告は、官報で3回します。公告期間を経過してもなお相続人が現れなければ、「相続人の不存在」が確定します。
債権者への支払い
相続財産清算人は、相続財産を管理し、債権者の申し立てを受けて、必要な支払いを行います。
特別縁故者への分与
捜索の公告をしても相続人が現れない場合、家庭裁判所が相当と認めるときは、特別縁故者に、清算後に残った相続財産の全部又は一部を与えることができます。
特別の縁故というのは、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者のことで、たとえば内縁の妻、事実上の養子、子の配偶者などがこれにあたります。
残りの財産は国庫に帰属する
債権者の支払、特別縁故者に対する分与、相続財産清算人の管理費用などを差し引いて、なお残余財産がある場合、その財産は国のものになります。
遺言書がある場合
遺言書があれば、相続財産清算人の選任は必要なく、遺言書にもとづいて、福祉事業への寄付、世話になった人への財産分与など、故人が望むように財産を遺贈することができます。
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