戸籍謄本
例えば父が亡くなったとき、通常の相続人は妻と子どもたちです。
通常はそれで問題ない事が多いのですが、時としてそうでないことがあるので、分かり切っていると思う場合でも、他に相続人はいないことをそれをはっきりさせるために戸籍謄本を取りよせなければなりません。
戸籍謄本は、不動産の所有権移転登記や銀行預金の解約などでも必要になります。
戸籍収集のタイミング
財産額が大きい場合は相続税の申告納付をしなければなりません。相続税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に納税しなければなりません。相続税の申告をするには相続人の確定が必要です。
戸籍の収集は、簡単に済む場合もありますが、遠隔地であったり、本籍の変更などがあったりすると時間がかかります。戸籍の収集だけで2、3ヶ月かかるとみる必要があります。葬儀が一段落したらなるべく早く取りかかるべきでしょう。
収集する範囲
まず、亡くなった人の「出生した時から死亡した時までの一連の戸籍・除籍・改製原戸籍謄本」が 必要です。
なぜ「出生した時」まで遡る戸籍が必要になるかというと、相続人の第1順位である「子」の有無を確認するためです。
思いがけなく、被相続人が秘かに認知した子どもがいるとか、養子縁組をしていたといった事実が出てくることがあります。あらたな子の存在が明らかになることがあるのでおろそかにできないのです。
相続人が遠くに住んでいる場合、相続人と疎遠になっている場合、亡くなっていてその子が相続人になる場合、などのケースでは、戸籍の収集、そしてその後の遺産の分割協議が難しくなることがあります。
手を尽して探しても相続人の所在がわからないこともあります。
戸籍をとる手続き
戸籍は本籍地の市区町村役場にあります。近くであれば出かけていけば取れますが、遠隔地であれば、郵便で申し込みます。
現在、マイナンバーカードを利用して全国のコンビニエンスストアで戸籍関係証明書を取得できるサービスが始まっています。利用には事前申請が必要です。
戸籍を請求できるのは、戸籍に記載されている方とその配偶者及び直系尊属・卑属です。代理人は戸籍を請求できる人からの委任状が必要です。
市区町村のホームページから、「郵便による戸籍謄・抄本等交付請求書」(名称は市区町村によって異なります)をダウウンロードして記入して郵送します。
書式が見つからない場合や、ネットを利用できない場合は、便箋などに、
・請求する証明書の種類、通数
・本籍地、筆頭者
・必要とする人の氏名、生年月日
・使用目的
・請求者の住所、氏名、生年月日、電話番号(昼間に連絡がとれる番号)
・必要とする人と請求者との関係
を記載します。
自由記載に不安がある場合は、居住地の市区町村窓口から、その市区町村の用紙をもらって、それに記入して送りましょう。
交付請求書に、本人確認書類と、代金、返信用封筒を同封して郵送します。
本人確認書類は、運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどのコピーです。
代金は定額小為替が一般的です。手数料分の定額小為替を郵便局で購入してください。現金書留を受け付けるところもあります。切手や印紙はだめのところが多いようです。
戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)は1通450円、除籍全部事項証明書(除籍謄本)は1通750円が多いですが、
返信用封筒は、あて先に請求者の住所・氏名を記入し、切手を貼ります。大きめの封筒がよいです。
宛名は、正式な窓口名が分からなくても「〇〇市役所戸籍係」で大丈夫です。
戸籍が届いたらよく読みます。戸籍謄本は「出生した時」から必要です。結婚や本籍の移転によって「出生した時」からでないときは、前の戸籍にたどっていく必要があります。これを繰り返して出生時までの戸籍謄本をとりよせます。
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