この齢となれば、目のほうもそれなりに草臥れてまいりましてな。
日々、遠目にてはなんら不自由はござらぬゆえ、絵草紙(えぞうし)――いまの「テレビ」とやら――を眺めたり、茶を淹れたり、普段の暮らしに難はござらぬ。
されど、近ごろは細かき文字がどうにも見えづらくなりましてのう。
品物の箱や袋にて、ぎっしりと記された「成分」や「取り扱いの説明」なるもの――あれこれ小さき文字が詰まったものは、つい読まずに済ませることが多うなり申した。
どうしても目を通したいときには、かつて親父殿が使っておった虫眼鏡を取り出し、ようやく読み取るといった有様にて候。
読書においてもまた、古き文庫本などは困りものでござるな。
あの字の小ささときたら、まこと目に厳しゅうて。
読めぬではないが、どうにも疲れ申す。昔のご隠居方も、さぞや難儀されたことと察せられ申す。
ゆえに、このところは書物を求めるにも、「電子書籍」なる不思議な仕組みのものを使うようになりましてな。
あれならば、文字の大きさも好みに合わせて変えられ、助かっておる。
欲を申せば、もう少し細やかに段階を調整できればと思わぬでもないが、贅沢を申しては罰が当たりましょうな。
さて、今日の空模様と申すに、予報では「晴れ」とのことにて候えども、どうにも空気が怪しく、いつ降り出してもおかしくない気配。
結局、雨は落ちてこず、どうにか持ち堪えた様子でござった。
2025年5月17日ーこのページー2025年5月19日